高校生が企画!家庭に眠るおもちゃを子どもたちへ送る取り組み 能代市
能代市では先月にかけて、家庭で眠ったままだったおもちゃを集めて、子どもたちに贈る取り組みが初めて行われました。
企画したのは、地元の高校生たちです。
曲げわっぱの端材を利用したキーホルダー。
不要な柿の木の枝でつくったボールペン。
枯れ葉や炭などを土に混ぜて育てた苗木。
4月下旬、能代市で地球環境について考えるイベント「アースデイ能代」が開かれました。
地球環境を守るために行動する日とされる4月22日の「アースデイ」に合わせて開かれたもので、今年で3回目。
おととしの第1回目から、イベントを企画・運営しているのは、地元の高校生たちです。
■イベントの準備の様子
イベントが6日後に迫ったこの日、実行委員会のメンバーが集まっていました。
能代高校の2年生と3年生です。
1か月ほど前から、放課後や部活動の合間を縫って準備を進めてきました。
2年前、当時の3年生数人が、地球環境を守るためにできることに取り組もうと始めた「アースデイ能代」。
家庭などで余った食品を集めて必要な人に届ける、フードドライブなどに取り組み、その活動を後輩たちが受け継いでいます。
能代市で生まれ育った3年生の石井瑶葉さん。
去年、先輩たちの活動を知り、参加を決めました。
石井さん
「能代市に直接的に貢献できる活動が、高校生にも力になれる活動があるって知れたのがすごく大きかったです」
今回、初めて取り組むことがあります。
それは、遊ばなくなったおもちゃの収集です。
きっかけは去年のアースデイ能代で、読まなくなった絵本を集めたことでした。
1日だけで約120冊が寄せられ、その場で子どもたちにプレゼントしたほか、地元の幼稚園に寄付したところとても喜ばれたといいます。
石井さん
「おもちゃも使えるものは繋いでいって、使えなくても使えるようにできるんだったら、してあげた方がいいんじゃないかなっていう思いで、割と何でもいけそうなものは集めようと思ってます」
今年はおもちゃを集めて、また子どもたちに喜んでもらいたい。
一方で、持ってきてくれる人がいるのか、不安も抱えながら準備を進めました。
この日、高校生たちが向かったのは能代市役所です。
会場となる会議室を下見に訪れました。
様々なブースをどのように配置するのか、石井さんを中心に決めていきます。
イベントを通して地域のにぎわいづくりにも貢献したい。
高校生たちは、会場周辺の飲食店などを巡るとイベント時限定の商品券がもらえる、スタンプラリーも企画しました。
高校生
「こちらスタンプになります。来週よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「今度、来週のイベントでスタンプラリーにご協力いただけるということで、こちら資料なのでよろしくお願いします」
地域の人たち
「がんばってください」
「楽しみにしています」
石井さん
「応援されているのが分かって、すごくうれしくて、成功させよう頑張ろうっていうふうに活力をもらいました。普段からちょっとでも環境について考えて行動できるきっかけになるように、それによって地域全体に少しでも明るい雰囲気が生まれたらなと思っています」
■イベント当日
本番当日。
実行委員を手伝おうと、市内の高校生や中学生約40人も加わりました。
石井さん
「きょうが皆さんにSDGsについてよく知ってもらう機会になればいいなと思います。よろしくお願いします」
会場の準備も終わり、あとはおもちゃが届くのを待つだけとなりました。
イベントが始まって間もなく。
大きな紙袋を手にした女性がやってきました。
女性
「お渡ししてもいいですか?上のお兄ちゃんがちっちゃい時によく使ったもので、壊れちゃったりしてるものもあるんですけど、毎日お外に連れて行ったりとか、お出かけの時とかも連れて行ったり。ほかのお友達に使って楽しんでください」
高校生
「よろしくお願いします」
「全部いいね、すごいね」
入っていたのは乗り物のおもちゃにキャラクターの人形です。
成長とともに遊ばなくなったもの。
大好きだったけど壊れてしまったもの。
大小さまざまなおもちゃが次々と集まりました。
集まったおもちゃを持ち帰る子どもたちもたくさんいました。
イベントが終わる直前まで、たくさんの人たちがおもちゃを持ってきてくれました。
初めての試みだったおもちゃの収集。
石井さんの予想をはるかに上回る数が集まりました。
石井さん
「もしかしたら何も来ないとかもあるのかなって心配だったんですけど、いっぱい集まってて、びっくりっていうか。うれしいよりも、驚きが勝ってる感じ。すごい成果がでて、すごくよかったと思います。みんなの手に行き来して巡っていくんだなっていうのが、私たちの活動とかも、そういうふうにみんなの手で巡っていくものだと思うので、そういうのが見れてすごくうれしいです」
■5月20日おもちゃを保育園に
アースデイ能代から約1か月が経った先月20日。
幼稚園と保育園におもちゃを届ける前に、実行委員会のメンバーが再び集まりました。
園児が手に取る前に、収集したおもちゃの汚れを、一つ一つ丁寧に拭き取ります。
■幼稚園や保育園へ向かう
高校生
「きょうはみんなのために、おもちゃと絵本をたくさん持ってきたので、たくさん遊んでいただけたらと嬉しいです。ぜひもらってください」
園児
「ありがとう」
高校生
「どういたしまして」
高校生のアイデアをきっかけに、たくさんの善意が寄せられた「アースデイ能代」。
家庭で眠ったままだったおもちゃが、園児たちの心に新たな思い出を刻みます。
高校生たちは今後メンバーを増やして、能代市だけでなく、全県で活動できるようにしていきたいと話していました。