【秋田県知事選挙特集⑤】新たな命の誕生「分べん」の現状 お産の取り扱いを中止する病院も…妊婦や家族の不安
最終日の27日は、分べん、出産ができる医療機関の減少についてです。
県内では、来月1日時点で、8つの市の16の医療機関でしか出産をすることができません。
北秋田市の市民病院は、今年度いっぱいでお産の取り扱いを中止します。
人口減少とともに、医療の集約化が進む秋田県。
未来を支える新たな命が生まれる瞬間、分べんをめぐる現状を取材しました。
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大館市 40代 母親
「困りますね」
鹿角市 30代 母親
「できれば近場にある方がいいんじゃないかなとは思います」
大館市 30代 母親
「若い人はやっぱり離れていくんじゃないかなって思いますね」
命が誕生する瞬間、分べんをめぐる状況が、県内で大きな局面を迎えています。
市内唯一の総合病院、北秋田市民病院です。
内科や外科、小児科など、21の科で診療を行い、地域の医療を支えています。
ただ、少子高齢化と人口減少を背景に、病院は、いま大きな岐路に立たされています。
北秋田市民病院 相澤俊朗 院長
「こちらが分娩室になります。もう今年から使うことはなくなります」
「ほんの10年前までは100件以上お産していたんですけども、いろんな理由があるんですが、一番は助産師さんの確保が難しくなってしまい、今年の4月から分べんを取りやめることになりました」
病院が決めた、出産の取り扱いの中止。
苦渋の決断だったといいます。
北秋田市民病院 相澤俊朗 院長
「24時間365日お産を守るためには、(助産師)10人でもカツカツだったのが、いまはもう3人とかなってくると、ちょっと申し訳ないですけど、お産を維持していくっていうのがちょっと厳しくなってしまったということです」
県内では、分べんの取り扱いをやめる施設が相次いでいます。
2010年には、県内の27の医療機関が分べんを取り扱っていました。
しかし、その数は、この15年間で減少。
新年度が始まる来月1日の時点では、県内16の医療機関でしか出産をすることができません。
医療機関がある場所にも偏りがあり、秋田市や大館市、横手市など、8つの市に限られます。
残る17の市町村では、自分が住む自治体で出産することができません。
医療の担い手不足と、少子化による出産数の減少が大きく影響しています。
北秋田市民病院 相澤俊朗 院長
「1個の病院ですべてを担うっていうことは、ちょっと厳しい。やれるところもあるけれども、だんだんやれなくなってくるところが増えてくると思うから、大きな地域でその地域の医療を守っていくっていうふうにしていかなきゃなと思うし、それを県にイニシアチブをとってもらえれば大変助かるなと」
出産をめぐる環境について、母親たちからは不安の声が上がっています。
鹿角市 40代 母親
「上2人は鹿角市内の病院で産んで、3人目はここ(大館)で産んだんですけど、やっぱり産まれてしまうんじゃないかっていう不安の中、病院に来たので、できれば車でも来やすいところで実際は出産したいなとは思うんですけど」
大館市 40代
「何があるか分からないので、出産まで順調にいければいいんですけど、なんかちょっとトラブルがあったりしたときにすぐに病院に行けないっていうのも困るので」