【特集】冬眠しないクマ なぜ街中をさまよう?異常事態を徹底検証 冬眠のメカニズムと出没の謎
冬の間もクマが出続ける背景について、クマの専門職員の近藤さんは、昨年度の大量出没で、人里近くの環境に慣れてしまったことや、冬でも人里なら食べ物が簡単に手に入ることを学習してしまったのではないかと推測しています。
近藤さん
「昨年度もかなり遅くまでクマが集落にいてしまった、恐らく近くで寝たであろう集落近くの環境に慣れたクマがたくさん出てしまった。前のシーズンにかなり集落に寄せてしまったというのが(要因として)効いているような気がしています」
冬の間も集落や市街地をかっ歩するクマ。
「クマは冬眠するもの」という常識が通用しない異常事態が、いま秋田で起きています。
■どう対処?担当記者が解説
田村修アナウンサー
「ここからはクマの取材を続けている川口大介記者とお伝えします。冬の間もクマが出続けている要因について、クマの専門職員の近藤さんは、昨年度の大量出没が引き金になったのではないかという見方でしたね」
川口大介 記者
「はい。昨年度は山の中が極端なエサ不足で、人里近くでたくさんのクマが目撃されました。クマ目線だと『ここまで行くことができた』『ここで食べ物が得られた』といったことを学習・経験したと言えます。
鴨下望美アナウンサー
「そういえば、昨年度は雪の降る中、カキを食べるクマの映像が秋田放送にも多く寄せられましたね」
川口記者
「はい。それまで秋田で暮らすクマはカキを食べることはあまりないと言われていて、昨年度をきっかけに、カキを食べ物としてしっかり認識したと近藤さんは考えています」
田村アナ
「冬の間もクマが街中をさまよい続けるという我々の常識を超えた異常事態への対処はどうしたらいいでしょうか?」
川口記者
「建物の中に侵入すると、猟銃も麻酔銃も使えず、対応が困難になります。倉庫や車庫のシャッターはできるだけ閉めてください。また、クマのエサとなりえる生ゴミなどの管理の徹底も必要です。そして、足跡を発見したら、家族や近所の人と情報共有してください。また、VTRでも紹介したクマダスへの投稿も注意喚起となります。市街地でクマを目撃した場合は、人身被害の危険性が増し、緊急度が上がります。お住いの市町村や警察への通報も大切です。また、県は、今年度、クマが指定管理鳥獣になったことから、クマの捕獲などについて定める「管理計画」を、今後、改訂する方針で、奥山にいるクマの生態は守りつつ、集落やその周辺では捕獲の圧力を強めて、クマの行動を抑制していく方針です」