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【県内初「救急救命学科」開設】全国から45人が入学 “救急需要増加”と“人材不足”の社会課題に対応 医師主導の教育でハイレベルな救急救命士を育成へ 岐阜・瑞穂市『朝日大学』

2025年4月9日 17:00
【県内初「救急救命学科」開設】全国から45人が入学 “救急需要増加”と“人材不足”の社会課題に対応 医師主導の教育でハイレベルな救急救命士を育成へ 岐阜・瑞穂市『朝日大学』
「救急救命学科」を新設した朝日大学(提供:朝日大学)
岐阜県瑞穂市の朝日大学が、2025年度から県内の大学では初となる「救急救命学科」を開設し、1期生として45人が入学しました。救急救命士の育成に力を入れる背景には、喫緊の社会課題がありました。

医師主導の教育体制で目指すハイレベルな救急医療人材の育成

救急救命士とは、けが人や病人を医療機関に搬送するまでの間、医師の指示のもとに必要な処置を施すことができる、国家資格が必要な専門職です。2021年10月に施行された救急救命士法の改正により、搬送中だけではなく、医療機関に到着してから入院するまで院内での救急処置も可能になりました。

この救急救命士を育成するために新設された朝日大学の救急救命学科。特徴は医師の指導が受けられるところにあると、同大学の担当者は話します。

朝日大学病院との連携によって、実際の医療現場での実習やチーム医療の実践、医師の指導による医学分野の教育を充実させて、ハイレベルな救急救命士の養成を目指すとしていて、学科長には、岐阜県に高次救命治療センターを立ち上げ、ドクターヘリを導入した、小倉真治教授が就任しました。

1期生となる入学者は定員40人を超える45人。北海道から沖縄まで全国から志願者が集まり、受験倍率は2倍を超えました。

4月2日に入学式、5日には救急救命学科開設記念式典が行われ、救急救命学科の新入生たちは「沖縄県から岐阜県に出て一人暮らしをはじめ、慣れない生活が始まったが、救急救命士を目指して頑張る」「現場を意識して、緊張感をもって勉強に取り組んで、良い救急救命士になりたい」と意気込みを語りました。

新学科設立の背景にある“救急需要増加”と“救急救命士不足”

朝日大学が救急救命学科を新設した背景には、救急需要の増加と救急救命士の不足という社会課題がありました。

消防庁が公表する「救急救助の現況」によると、岐阜県の救急出動件数は、2020年は8万409件、2021年は8万4259件、2022年は9万9260件、2023年は10万4083件となっていて、年々増加していることがわかります。

一方で、救急救命士が常時乗車している救急隊の割合は、2024年4月1日時点で92.2%にとどまっています。地域別でみると、岐阜・西濃・中濃地方は100%ですが、東濃地域では88%、飛騨地方は61.1%と地域差が大きく、今後、高齢化が進むにつれて、この地域差はさらに拡大することが予想されます。(地域別の割合は「第8期岐阜県保健医療計画」2021年度のデータを引用)

こうした状況は岐阜県だけではなく、全国的な課題となっています。全国の救急出動件数は、2003年の約483万件から2023年の約764万件と20年間で58.1%増加しています。救急救命士の配置率も93.5%と、100%に至っていません。

さらに、医師不足などが指摘される現状において、国は救急救命士の活用を積極的に推進していて、2021年度に施行された救急救命士法の改正により、救急救命士の職務範囲は拡大されていました。今後も法改正を含めた議論を進める方針が示されています。

現在、救急救命士を養成する学校は全国に65校ありますが、こうした社会的要請に応えるためには、より高度な知識と技術を持つ救急救命士の育成が急務となっています。

地域医療の充実と救急医療体制の強化に貢献することが、朝日大学の救急救命学科にとっても重要な使命となっていきそうです。

最終更新日:2025年4月9日 17:52
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