多くのビジネスチャンスを秘めたスリープツーリズム 良質な睡眠の提供で、地域活性化にもつなげたい⁉ 愛知・幸田町の旅館「風の谷の庵」

不眠に悩まされていたり、寝つきが悪い人は多いのではないでしょうか―。
厚生労働省の調査によりますと、十分に睡眠がとれている日本人成人は74.9%で、4人に1人が慢性的な不眠状態といいます(厚労省 2023年「国民健康・栄養調査」の結果による「睡眠の状況」)。
1日の平均睡眠時間については、6時間未満の者の割合は男性38・5%、女性43・6%であり、性別・年齢層別にみると、男性は30~50歳代、女性は40~60歳代で4割を超えています。
観光地や景勝地を巡る従来の旅行スタイルとは異なり、旅館の部屋や館内でゆっくりと時間を過ごすスタイルが特徴です。周囲の自然環境や体験プログラムなどを自分のペースで楽しめるのが魅力となっています。
その市場規模は全世界で年々成長しており、Grand View Researchによりますと、2030年までに約1489億ドル(約21兆円)に達すると予測されています。市場の平均成長率も毎年12・4%が見込まれているということです。
愛知・幸田町の旅館「風の谷の庵」では快眠の提供をテーマに、さまざまなサービスを実施。地域活性化にもつなげようと、睡眠に関連する多彩な試みに取り組んでいます。
旅館のある幸田町の寝具メーカー「エアウィーヴ」が製造するマットレスや枕を旅館に導入したほか、睡眠に関する専門家である三橋美穂さん(岡崎市出身)の提案を取り入れた「快眠プラン」を提供しています。
自由に選べる枕、三河木綿のガーゼを素材にした柔らかいパジャマ、快眠セラピストとして知られる三橋さんが監修したアロマや音楽CDが用意され、心地よい睡眠を誘導する仕掛けを多数取りそろえています。
森に囲まれた宿でそよ風に吹かれながら、テラスで三河産の線香花火を楽しめたりできるほか、整備された道を散策したり、茶道や華道を体験できるプログラム(要予約)などの趣向もあります。就寝前の活動を充実させ、安眠に導こうとする試みです。