天ぷら油で飛行機が空を飛ぶ!CO2削減率は約8割、でも製造コストが高すぎる…!原料確保も課題、自治体が“家庭から出た使用済み油”を回収

使用済みの食用油から作られた航空燃料「SAF(サフ)」。二酸化炭素の排出量を
約80%削減できる一方、高すぎる製造コスト、原料となる廃食油の確保が課題となっています。地球の未来を担う航空燃料を作り続けるため、私たちが出来ることは…?
貨物機に国産の“SAF”を給油
今年5月、中部国際空港には、多くの報道陣の姿が。注目していたのは、貨物機に給油される燃料でした。
給油されていたのは、「SAF(サフ)」と呼ばれる燃料。実は、“使用済みの植物性油”で製造された航空燃料なのです。中部国際空港で、国産のSAFが給油されるのは初。この日、貨物機には通常の航空燃料にSAFを混ぜた燃料が給油されました。
従来の燃料と比べて、二酸化炭素の排出量を約80%削減できると注目されているSAF。茶色く濁った使用済みの食用油から精製すると無色透明に変化し、その香りは記者曰く、“ガソリンスタンドでかいだようなにおい”とのことでした。
製造コストは約3倍!廃食油の確保も課題
『レボインターナショナル』立田真介さん:
「全国から集めた使用済みの天ぷら油は、こちらの原料タンクに投入されます。そこから配管を通じてこちらのSAFの製造設備に送り込まれます」
立田さんによると同工場では、使用済みの食用油の精製を向上させる、世界初の独自技術でSAFを1日に約600リットル生産できるということです。
環境に優しいSAF。しかし、普及に向けてハードルとなっているのが、一般的な燃料の約3倍という製造コストです。さらに、立田さんによると、今は廃食油自体も“争奪戦”。原料となる使用済み食用油の確保も課題となっているのです。
全油連によると、国内の使用済み食用油排出量(年間)は、飲食店などからは約40万トンで、一部は海外に輸出。家庭からは約10万トン出ますが、そのほとんどが捨てられているといいます。