「諦めていたことができると思って…この子の可能性を広げてあげたい」 誰もが楽しめる海を増やしていきたい『アダプティブサーフィン』の日本代表にもなった選手が仕掛けたイベント

障害者がサーフィンを楽しむ。一歩を踏み出そうと思っても、そこには高いハードルがありました。
5月3日、ゴールデンウイークまっただ中の愛知県南知多町の「内海 千鳥ヶ浜海水浴場」では、サーフィンを楽しむ人でにぎわっていました。やってきた人たちの多くは、車いすに乗る人たち。
この日開かれていたのは障害のある人たちにも海を楽しんでもらおうというイベント「つるやピースフルカップ」。
企画したのは、小林征郁さん、通称・マサさんです。愛知を拠点に活動するプロのサーファーですが、足が不自由なマサさんが行うのは「アダプティブサーフィン」と呼ばれる競技。
実はマサさん、日本代表として国際大会にも出場する選手なのです。
そんなマサさんが、このイベントを企画したワケは。
アダプティブサーファー マサさん:
「大人も子どもも障害の有無にかかわらず、みんなで海を楽しもうというイベントで、アダプティブサーフィンの活動をする中で、多くの方に知ってもらいたい」
「アダプティブサーフィン」を知ってもらいたいと始めたイベントも、今年で6回目。
こちらの親子は毎年このイベントを楽しみにしています。
毎年参加の佐藤さん親子:
「(娘の)笑顔がたくさん見られて、うれしかった。慣れているスタッフがサポートしてくれる。安心して海遊びができる」
会場には、水に浮くタイプの車いすのほか、ウエットスーツも用意されていて、さらに、着替えを手伝うスタッフも。
慣れていない人でも楽しむことができるように常にスタッフが付き添います。
こちらの参加者は、中学2年生の大佑くん。ちょっと表情がかたい様子。
脳性まひの影響で足が不自由な大佑くん。これまで何度か海に行ったことはあるといいますが、サーフィンは初めての体験です。
生まれて初めて波に乗った感覚は…。
大佑くん:「思ったより波が強かった」
母・愛さん「表情を見て分かるようにすごく楽しそうだったので、よかったと思います。世界が広がったかな。こういう所には行けないという認識だった」
参加者の多くからは「海は諦めていた」という声が聞かれました。