【密着】82歳の匠 昔気質で無骨な伝統工芸士 越前打刃物の技を弟子に継承
■伝統の技をこれからの世代に
マグロ包丁の職人として知られる清水さんのもとには、老舗の包丁販売メーカーに勤める北村拓己さんが弟子入りしていて、地金に刃先となる鋼を接合する伝統技法の「沸かし付け」などを学んでいます。
□自宅での様子
北村さん「ただいま」
長女(3) 「おかえり」
北村さんは長男(1)が生まれてすぐ、1か月間の育児休暇を取得し、妻の愛沙美さんをサポートしました。
■職人の世界にも「働き方改革」
□妻の愛沙美さん
「よく面倒見てくれいています。育休をとってくれて、産後は助かりました」
□北村拓己さん
「当時の男の人と今の男の人って、理解されないところは結構ありますね。昔の男って感じじゃないですか、清水さん。あ~いう人いっぱいいたんでしょうね」
男性社会のイメージの強い職人の世界でも、少しずつ働き方改革も進んでいるようです。
□北村拓己さん
「伝統工芸士になりたい。目標のひとつです。まずは次のステップアップ」
■令和の時代に引き継がれる伝統の技
今年9月。北村さんは初めて刀身の強度を高める「焼き入れ」を任されました。
包丁づくりの重要な工程で最適な温度を見極め、急激に冷やすことで鋼の刃の切れ味を鋭くします。
□焼き入れの際のやりとり
北村さん「(刀が)反ってきましたよ」
清水さん「奥、ずっと奥。だんねぇ、早く焼こう。反ったって直るんやで」
清水さん「今日初めてやでな、あんなもんや(笑)。なぁ?」
北村さん「う~ん…」
□北村拓己さん
「しょっちゅう壁がありますよ。難しいことを取り組むのが醍醐味なので。目標がいつもあるのが楽しみでもあります」
老いと闘いながら鋼に魂を込めて刃物づくりに命を注ぐ令和の匠。その背中を見ながら奮闘する若手職人。700年続く産地で、少しずつ伝統の技が引き継がれています。
(FBC福井放送 2023年10月17日放送)