路線バスの運転士が足りない 白羽の矢が立ったのは? 担い手不足の問題を「オール福井」で克服へ
深刻な運転士不足を背景に去年大幅な減便を余儀なくされた路線バス。4月から一部の便が復活したものの人材不足の状況が続いています。担い手の確保に向けて白羽の矢が立ったのは県の職員。二足のわらじで地域の足を守るドライバ―に密着です。
県奥越土木事務所で働く辻利雄さん(61)です。普段は用地取得などを担当しています。
■県奥越土木事務所 辻利雄主査
「国道158号線上半原の災害現場の地権 代替道路を作ることで動いているので、地権者の交渉にあたっている」
そんな辻さんにはもう一つの顔が。
■点呼
「きょうも1日事故のないよう安全運転でよろしくお願いします」「はい お願いします」
路線バスの新米運転士です。
■職員と会話
「きょう誰と2人で乗るの? 2人乗務じゃなくてきょうからデビュー」
辻さんは4月から、福井駅前を周遊する「すまいるバス」の運転士として働いています。
■県職員 兼 京福バス運転士 辻利雄さん
「上司から、県民のために運転士不足で大変なときにどうかという話をもらった これまで40年近く県職員として勤めてきて、困っている人がいて、県民の足に少しでも役に立てるならありがたいと思って」
県職員とバス運転士の二足のわらじ。
公務員の副業は原則認められていませんが今回は例外です。
■県 交通・まちづくり課 中村智哉参事
「地域の課題解決ということで、県の仕事をしながら兼業で働ける制度があるので、それを活用してバスの運転を助けてもらえないかと」
去年、深刻な運転士不足と「2024年問題」による時間外労働の制限で減便を余儀なくされた県内の路線バス。
4月から一部の便の運行が再開されていますが、減便前と比べると運行本数は7割ほどに留まります。
少しでも担い手を確保しようと、大型免許を持っている職員に県が働きかけた結果、辻さんを含む2人が大型2種の免許を取得し、バスの運転士を兼務することになりました。
■県 交通・まちづくり課 中村智哉参事
「本業に影響のない範囲でシフトを設定してくれているので、そういった事例を県庁内部でも紹介しながら、手を挙げてくれる職員を募りたい」
辻さんは、月曜から金曜までは県職員として働き、土曜日はバスのハンドルを握ります。
■辻利雄さん
「身体の続く限り雇ってもらえれば、少しでも役に立てればと思うので、できる限り続けたいと思う Q体力は?大丈夫」
地域の足を守ろうと立ち上がった助っ人の公務員。
公共交通が直面する人材不足の問題を「オール福井」で乗り越えようとしています。