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「公共ライドシェア」の運行が始まる 公共交通がない地域の「移動の足」確保なるか 日本版ライドシェアとの違いは

2025年4月21日 18:16
「公共ライドシェア」の運行が始まる 公共交通がない地域の「移動の足」確保なるか 日本版ライドシェアとの違いは

福岡県宗像市で21日、「公共ライドシェア」という取り組みが始まりました。鉄道やバスなどの公共交通がない地域で、自治体が一般ドライバーの力を借りて移動の足を確保するものです。

宗像市役所では19日、「公共ライドシェア」の出発式が行われました。

■宗像市・伊豆美沙子 市長
「運行していない空きタクシー車両を活用したデマンド型交通を導入することで、地域交通の課題解決を図っていきます。」

「ライドシェア」は、規制緩和によって2種免許を持たない一般ドライバーでも、有料で客を乗せて車を走らせることができる仕組みです。

実証運行が始まる宗像市北部の港町、岬地区ではおよそ1800人が暮らしています。高齢化率は4割を超え、市全域の平均を大きく上回るエリアです。

■岬地区の人(95)
Q買い物はどうしている?
「(息子の)嫁さんの車で行っています。もとは自分で車で行っていたけれど、車はやめたから。もう困るね、田舎は。昔はずらっと店がありましたが、今は全然、1軒もない。」

岬地区ではコミュニティバスが週3日走っていますが、自宅と停留所の間の移動が必要なことや、自家用車と比べて時間がかかることなどが課題となっています。

ドライバー確保の課題もある中で、市が期待を寄せているのが「公共ライドシェア」と呼ばれる新たな取り組みです。

■宮原真記者
「道の駅むなかたにある、ライドシェアの乗り降りをする場所です。岬地区の人は、市内に6か所あるこのような拠点でタクシーを乗り降りできます。」

宗像市で21日に始まった「公共ライドシェア」は、市が指定する赤間駅や大型商業施設など公共交通とつながる地点と岬地区を結びます。

走るルートが決まっているコミュニティバスと異なり、自宅前まで送り迎えをしてくれます。

利用料金はコミュニティバスの運賃より割高ですが、移動時間を短縮でき、タクシー料金より割安です。

■岬地区の住人(95)
Q利用することもありそう?
「たまに行けばね、なんて言っています。でも車がありますからね。」

さらに、自家用車のライドシェアは「整備面が不安」という声を受け、市では運行していない空きタクシーを活用する九州初の取り組み「宗像モデル」の構築を目指します。

7月までに専用アプリを開発し、2026年度中には市内全域に「公共ライドシェア」を広げる考えです。

■宗像市・伊豆市長
「歩きにくいとか、坂の上に家がある人には非常に有益だと感じています。赤間駅まで行ったけれど、帰りは『空』でまた岬に走るとなると、そのドライバーの収益もあまり上がらない。地域に根付く公共交通機関として育てていくという願いを込めて、認知が進むとありがたいと思っています。」

21日は「公共ライドシェア」を予約した人はいませんでした。今後、どう利用者を増やしていくのか注目されます。