【トランプ関税】振動モーターを輸出する北九州市の工場「長期戦略を立てられない」日米交渉の行方は
アメリカのトランプ政権による関税措置を巡り16日、赤沢経済再生担当相が協議を行うため、アメリカへと出発しました。産業用の振動モーターをアメリカなどに輸出する北九州市の企業は、先行きの不透明さに翻弄されています。
16日に訪ねたのは、北九州市八幡西区の工場です。産業用の振動モーターを作っています。
■村上精機工作所・橋本尚二 社長
「モーターの軸の両端に重りを付けて振動を発生させる装置です。あらゆるものづくりの会社に当社の製品が使われています。」
自動車や鉄鋼、さらには食品など、さまざまな製造現場で使われている振動モーター。国内シェアはおよそ7割を誇ります。さらに。
■川崎直人記者
「ずらりと並ぶ振動モーター。オレンジのものはオーストラリアに。そして、こちらは南アフリカに。その隣はアメリカへと輸出されるということです。」
アメリカには毎月200台近く出荷していますが「トランプ関税」がどのように影響するのか見通しは立っていません。
■橋本社長
「アメリカのパートナー企業ともやりとりをしていますが、ほとんど情報がないというか、施策がころころ変わっているので、今は一切、長期的な戦略が立てられない。関税がかかると向こう(アメリカ)の売値が上がるのでどうしようかと、関税分を折半にしようかと、そういう話は当然上がってきています。」
日本時間の3日、アメリカのトランプ大統領は、日本に対して24パーセントの追加関税を課すと表明しました。その後、90日間の措置の停止により、相互関税は税率が10パーセントに下げられたものの、自動車や鉄鋼などに関しては25パーセントの追加関税が課せられています。そんな中。
■赤沢経済再生担当相
「信頼関係をしっかり築いて、日本の国益にとっても米国の国益にとっても、ウインウインの関係になるような、いい交渉ができると思っています。」
赤沢経済再生担当相が16日、アメリカへ向け出発しました。17日からトランプ関税の見直しに向けた交渉をスタートさせます。初の交渉に企業が期待することは。
■橋本社長
「最低でも2年や3年はそのルールを変えないという約束をとりつけてもらえれば、いろんな投資を含めた戦略的な決断ができると考えます。パートナー企業と一緒になって、高くてもどうやったら売れるか、どう付加価値を上げるかということを(今後)考えていきます。」
世界各国を混乱させているトランプ関税。交渉は今後、複数回にわたって行われる見通しで、地元企業もその行方を見守っています。