「助けてと言えるまちに」暴力団事務所の跡地につくる希望のまち 抱樸(ほうぼく)の新たな挑戦 特集「キャッチ」
夜が深まると、「抱樸」のスタッフやボランティアは、人通りが少なくなった街に出ます。
■ボランティア部・奥田伴子さん
「毛布もらっといたら?」
■スタッフ
「風邪薬。」
■支援を受けた人
「助かります。鼻水が止まらん。」
■伴子さん
「体調悪そう。本当に悪い時は言ってよ。」
優しく声をかけるのは、理事長の奥田さんの妻、伴子さんです。
■伴子さん
「外で寝ている方々に声をかけて、健康状態や何か困ったことがないか聞いていきます。」
ピーク時に比べ大幅に減ったものの、北九州市では今も50人前後の路上生活者が確認されています。去年の秋に「抱樸」と出会ったという、30代の女性の路上生活者もいます。
■女性(39)
「最初に弁当を受け取った時も、 本当に涙が出そうになりました。 本当にありがたかった。『助けてください』とやっと言えたところです。心強いというか、つながるっていいね。」
この日、広い更地に設けられたプレハブの施設にやってきたのは、山下さんです。
■ボランティア部・奥田伴子さん
「遅かったね。」
■山下さん
「寝とった。」
■伴子さん
「寝坊かいな。」
「抱樸」とつながった人たちが集まり、週に1回の交流会が開かれていました。
■山下さん
「山下と言います。よろしくお願いします。」
■伴子さん
「遠いところから歩いてきて。」
■山下さん
「毎週毎週きついけどね。楽しいわね。」
■伴子さん
「何が楽しかった?」
■山下さん
「全部よ。」
プレハブの施設での交流会は、この日が最後でした。
ここはかつて、北九州市の特定危険指定暴力団、工藤会の本部事務所があった場所です。この土地を取得した「抱樸」は、「希望のまち」として新たな福祉の拠点づくりを始めます。
■奥田理事長
「助けてって言える、助けてって言われる“まち”にしたい。私がいる、あなたがいる、なんとかなる、これがこの“まち”のテーマです。」
資材の高騰などで計画に遅れが出ていましたが、全国からおよそ5億円の支援が寄せられ、ようやく起工式を迎えました。