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災害関連死を防ぐには「普段の生活に近づける」トイレや食事が重要 熊本地震から9年…どう備える

2025年4月14日 19:13
災害関連死を防ぐには「普段の生活に近づける」トイレや食事が重要 熊本地震から9年…どう備える

最大震度7の揺れが2度起きた熊本地震から14日で9年です。熊本地震では災害関連死が全体の死者数の8割にのぼり、対策が大きな課題となりました。いつ起こるか分からない巨大地震、どのような備えが重要なのでしょうか。

9年前の2016年、震度7の揺れに2度襲われた熊本県益城町。14日、町役場では職員による黙とうが行われました。

■熊本県益城町・西村博則 町長
「風化させることなく伝え続けることが一番大事だと思っています。益城町にとっての一番の責任と思っています。」

熊本地震では、19万8000棟以上の建物が被害を受け、災害関連死を含めて275人が亡くなりました。災害関連死とは、災害によるケガや、避難所生活による持病の悪化などによって死亡することを指します。熊本地震では、地震による直接の死者数を上回り、全体の8割に及んでいます。

3月末に新たに発表された国の南海トラフ地震の被害想定では初めて、災害関連死の人数が盛り込まれ、東日本大震災の10倍を超える最大5万2000人と試算しています。

「いつきてもおかしくない」といわれる巨大地震。福岡県は、災害関連死を防ぐ上で優先課題と捉えていることがあります。それは。

■福岡県防災企画課・塩川靖教係長
「トイレの問題が非常に重要です。組み立て式トイレの追加配備を進めています。できるだけ早く避難して、日常で使われているものと同じような環境を整えられることが必要かと思います。」

福岡県は、去年の能登半島地震でトイレ不足が指摘されたことを受け、普段通りに排泄できないことは健康被害にもつながるとして、備蓄の見直しを進めています。

一方で、国が発表した新たな南海トラフ地震の被害想定について、県の防災計画への反映はできておらず、反映時期も未定だとしています。

行政の具体的な対応が追いついていない中、民間で災害関連死をなくそうという取り組みがあります。佐賀大学は2023年、「災害関連死をゼロにする地域連携プロジェクト」を立ち上げました。

■佐賀大学医学部付属病院・古川祐太朗 医師
「災害関連死を予防するための医療的に必要なことを、生活レベルで住民の方たちと対話しながら地域連携で落とし込めないかというところが、このプロジェクトの発端です。」

佐賀大学が、県内の地域住民による防災組織と連携。避難所の運営や避難誘導についての研修会を開催しているほか、発災直後に医師が駆けつけられない事態を想定したオンライン診療についての実証実験に取り組んでいます。

災害関連死は年齢関係なく起こりうるとして、重要な対策は「普段の生活に近づける」ことだといいます。

■古川医師
「発災後いち早く『自身の生活に戻れるか』を住民レベルで考えることができるようになれば、発災後でも元通りの生活にいち早く戻れる。そうすると災害関連死を防げることになると思います。」