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「私の指でしか出せない音」15万人に1人の難病「アペール症」12歳の少女が奏でるピアノ

2025年4月26日 7:18
「私の指でしか出せない音」15万人に1人の難病「アペール症」12歳の少女が奏でるピアノ

骨や関節に異常が見られる「アペール症」という難病を抱えながら、ピアノに打ち込む12歳の少女がいます。日常の困難を自分なりの「工夫」で乗り越えてきた少女。ピアノの音に込めた思いとは。

モーツァルトの曲を堂々と1人で演奏するのは、12歳のピアニストです。少女の手は人より小さく、指の関節は曲げることができません。

■村山陽香さん(12)
「私の指でしか出せない音を、美しく響かせたい。」

この日、福岡市内で開かれたのは「アペール症」の子どもを育てる家族の交流会です。県内で初めての取り組みです。

■陽香さん
「村山陽香です。12歳です。今度、中学1年生になります。」
■母・尚子さん(45)
「陽香は頭蓋骨の手術を生後半年で受けています。1歳になる頃に3本指にする手術を受けて、その次に5本指になったというところです。」

遺伝子の突然変異により、骨や関節に異常をきたす「アペール症」。15万人に1人の難病で、年間発症数は8人程度と言われています。根本的な原因やメカニズムはほとんど解明されていません。

陽香さんは生まれて半年で、頭の骨を取り外す、10時間にも及ぶ大きな手術に臨みました。

■陽香さん
「今から病院に行ってきます。」

これまで7度の手術を乗り越えてきた陽香さん。くっついていた指は5本になりましたが、彼女の指には第2関節が存在せず、曲げることができません。

■陽香さん
「テーブル拭いておこうか?」
■尚子さん
「そうね。じゃあ、ちょっと待ってね。」
■陽香さん
「(台拭きを)絞ろうと思っても絞れません。」
■尚子さん
「そこが限界?」
■陽香さん
「限界。」

アペール症の影響で、日常には多くの困難が伴います。

そんな陽香さんには、支えとなる大きな存在がありました。母の尚子さんの影響で4歳から始めたピアノです。音楽教室に通いながら努力を続け、全国大会で金賞や芸術賞を獲得するなど、メキメキと上達しました。

■陽香さん
「(届かない音は)右手と左手でそれぞれ弾いたりします。」