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教師を目指す吃音の学生「誰もが安心して通える学校に」模擬授業で夢への一歩

2025年4月18日 6:51
教師を目指す吃音の学生「誰もが安心して通える学校に」模擬授業で夢への一歩

福岡県宗像市の福岡教育大学で、吃音(きつおん)への理解をテーマにした模擬授業が行われ、教師を目指す吃音の女子大学生が教壇に立ちました。

■福岡教育大学3年・藤本 莉緒さん
「吃音を持っている方や、そうでない方もいらっしゃると思うのですが。」

4月6日、福岡県宗像市の福岡教育大学で「吃音への理解」をテーマに行われた模擬授業。教壇に立ったのは、福岡教育大学の3年生、藤本莉緒さんです。藤本さんは、話し言葉が滑らかに出ません。

■藤本さん
「吃音には、『繰り返し(連発)』『引き伸ばし(伸発)』『言葉が詰まる(難発)』と3つの症状があります。」

模擬授業の前日、藤本さんは模擬授業の練習をしていました。授業は50分間です。練習でスムーズに話せなかった部分に印をつけ、ほかの言葉に言い替えていきました。

藤本さんは4歳の頃から吃音の症状が出始めました。その後の学校生活では、周りから吃音について理解してもらえないことがあったといいます。

■藤本さん
「(小学生の頃)バレーボール部でしたが、吃音の症状が出て全く声が出なくて。監督に、何とか声を出さずにやってもいいか相談しましたが、『声を出せないなら部活を辞めるしかないよね』と言われて、結局部活を辞めたという経験が一番つらかった。」

中学2年生になると吃音がひどくなり、一時期、学校に通えなくなりました。

今でも人前で話すのは怖いと感じる藤本さんですが、その経験があるからこそ、特別支援学校の教師になりたいと思っています。

■藤本さん
「障害のある子どもが学校に通うことは、すごく大変。自分が経験して、学校との連携が一番大事と強く思ったので。」

そして迎えた模擬授業の日。

■藤本さん
「きのうは眠れなかったです、緊張で。『成功するかな、大丈夫かな』と。」

この模擬授業は「号令に時間がかかる教室」と名付けられ、2023年に大阪で始まりました。教師を目指す吃音の若者に自信をつけてもらおうと全国で開催されていて、福岡県では初めて行われました。

「号令に時間がかかる教室」を企画をしたのは、自身も吃音がある奥村安莉沙さんです。始めたきっかけは、1人の学生との出会いだったといいます。

■「号令に時間がかかる教室」を企画した 奥村安莉沙さん(33)
「(教員から)『あなたは吃音があるから、教師の道は考え直した方がいいんじゃない』と言われて『すごくショックだった』と相談をしてくれた。吃音の学生が先生になりやすい環境をつくりたいと思って始めました。」

クラウドファンディングで資金を集め、今回の模擬授業を開きました。