備蓄米や増産 政府のコメ政策に農家の思いは… 広島県
コメの価格高騰を受け、政府は備蓄米の放出やコメを増産する方針などを次々と打ち出しています。しかし、生産者からは価格や人手不足を不安する声が聞かれます。農家のホンネを取材しました。
■小泉農水相
「あしたからまた追加の備蓄米を放出します。全く手を緩める気はない。できることは何でもやる」
10日、強い決意を述べた小泉農林水産大臣。放出されずに残っている約30万トンの備蓄米のうち新たに20万トンを追加で放出すると明らかにしました。広島市内のスーパーにも8日、2000袋の備蓄米が並びました。価格は5キロ2138円。午前中で完売しました。
■客
「普段の半分の値段なので、味も気になったので確かめてみたいなと」
安い備蓄米の流通が拡大するなか、生産者の心境は複雑です。三次市の齊木享さんです。
■コメ農家 齊木享さん
「古古古米2000円レベルでは生産者が出すコメ価格では難しい。あくまで古古古米の値段」
齊木さんは備蓄米の放出には理解を示しながらも、農家が出荷するコメには適正価格が必要だと訴えます。
■コメ農家 齊木享さん
「稲刈りの作業始めに機械が壊れた。500万くらいかかると言われて新車で。この先やめようかと一瞬頭をよぎった。(コメの)値段が上がれば少しでも踏みとどまる、定着につながる人も出てくると思う。4000円、5000円は高いと思うが3000円台くらいでおさまらないといけない」
「安定的な価格」の実現のため政府は、コメの増産を検討する方針を打ち出しています。
■コメ農家 齊木享さん
「荒れた田は元に戻すのに手間がかかるので、減反を仮に見直しても取り組む人がどこまでいるだろうかと心配している」
政府が「スピードを緩めず対応する」と強調したコメ政策。消費者と生産者が納得できる対応が求められます。
(2025年6月10日)