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【ドキュメント・ダイジェスト】命あるかぎり-被爆者・森 重昭-

2025年4月15日 9:49

■アメリカ兵の妹 コニーさん
「放射線を浴びたことで、嘔吐を繰り返しずっと母のことを呼んでいたそうです。いっそすぐに死ねたら苦しまずにすんだのに。兄が恋しいです」

この3年後、森さんはアメリカ兵の故郷を訪ねることにしました。森さんは自らが調べたアメリカ兵の最期を伝えました。

■被爆者 森重昭さん
「広島城の近くに収容され、宇品というところに連れて行かれ13日間生き延びました。彼は国家のために身命を投げうって戦った本当の愛国者でした」

しかし、この言葉をコニーさんは聞けませんでした。森さんが到着する2日前、病気のため息を引き取っていたのです。

■被爆者 森重昭さん
「こんなに悲しいことはないですよ。ですからね、ひそかに、涙を流しました。だから彼女の遺志を継いで、これから戦争がない国をつくらなきゃいけないとつくづくそう思いました」

2024年、森さんは、腸の病気で入退院を繰り返し、体力が急激に衰えていました。

■妻・佳代子さん
「食事代わり。固形物がもう入らないの。だから全部ドリンク」

それでも、自らの体験を語り続けています。

■被爆者 森重昭さん
「本当はね(講演会を)したくない。言葉がちゃんとしゃべれないからね、したくない。だけど、僕の代わりに誰か話ができるか。誰もできない。だから小さな声でもいいから一生懸命話をしよう」

森さんは今、長崎で被爆死したオランダ兵の遺族を探しています。執念の歩みは、続きます。命あるかぎり。

最終更新日:2025年4月15日 9:49