×

徳島のニュース

  • JRT NEWS NNN
  • 25歳にして四国八十八か所霊場十三番札所・大日寺で住職となった男性 その異色の横顔に密着【徳島】

25歳にして四国八十八か所霊場十三番札所・大日寺で住職となった男性 その異色の横顔に密着【徳島】

2024年1月19日 20:30
25歳にして四国八十八か所霊場十三番札所・大日寺で住職となった男性 その異色の横顔に密着【徳島】
四国八十八か所霊場十三番札所・大日寺で、25歳にして住職を務める男性がいます。

アメリカ生活15年、韓国籍の母を持つという異色の住職。

これまでにない発想で四国霊場に新たな風を吹き込んでいます。

■四国八十八カ寺最年少の住職



氷が張るほど寒い朝。本堂に読経の声が響きます。

徳島市一宮町にある十三番札所・大日寺の大栗弘昴住職、25歳。四国八十八カ寺の住職としては最年少です。

この日は1月17日、阪神淡路大震災から29年目の朝でした。

(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「1日を始める前に心を清めるといいますか、そういう意味で毎朝勤行を行っております。朝のお勤めの時も阪神(淡路大地震)の被害者もそうですし、去年からいろいろ事件で亡くなられた方を供養する。そういう意味も込めています」


約1200年前、弘法大師・空海が開いたと伝えられる大日寺。

訪れるお遍路さんに気持ちよく参拝してもらおうと住職自ら、朝の掃除は欠かしません。


(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「日々、参拝者が来られるお寺なので毎日、日々きれいに維持するのが大変」


掃除や納経など寺のことなら何でもこなします。


■彼が20代の若さで歴史ある寺の住職になったのにはわけが…



今から17年前、当時の住職だった父・弘榮さんが病気のため亡くなりました。まだ68歳。

後継者のことなど誰も考えていませんでした。

(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「本当に急なことで、緊急事態ということでだれが継ぐんだろうと予想もつかないレベルだったので、多分、母親、自分自身も継ぐことになるとは思ってなかったと思います」

弘榮さんの妻・金昴先さんは韓国出身。

夫を支えるかたわら、韓国の伝統舞踊の継承者として活動していました。

亡くなる直前、最後に聞いた夫の言葉が昴先さんの心を動かしました。

(前住職 弘榮さんの妻・金昴先さん)
「うちの住職が倒れる日、『お坊さんの資格を取った方がいい』と言われました。私が夫から聞いた最後の言葉でした」

残された母と子。2人はすぐに京都の大覚寺で得度をし、仏門に入ります。

当時わずか9歳だった弘昴さんにとって父は憧れの存在でした。

(前住職 弘榮さんの妻・金昴先さん)
「お父さんのような立派な住職になりたいから、僕が成人になるまでに、お母さんが頑張ってほしい。やっぱり子どもの言葉が私、決意することになりました」

2008年、母・昴先さんが四国八十八か寺で初めて外国籍の住職となり寺を守る間、息子・弘昴さんは、親戚が住むアメリカの学校に進みます。

「国際化が進むこれからは住職も広い視野が必要」と考えてのことでした。

大学までアメリカで15年間暮らし、3年前、帰国。母に替わって住職に就きました。

(弘昴さんの母・金昴先さん)
「高野山の修行が終わって住職になったからほんとに嬉しかったです。夢のような」

母・昴先さんは、本来の仕事である韓国舞踊の伝承活動のため、韓国へ帰国しました。

一人で住職の仕事を任されることになった弘昴さん、はじめは不安な日々でした。



(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「周りの人はみんな自分とすごく歳が離れていて、年配の方がほとんどなので、会話とかしきたりとか、しっかりついていけるのかという不安がほとんどでした」

今では寺の仕事にもすっかり慣れ、得意の英語で外国人を案内することもあるといいます。

この日はフランスからの旅行者に道を教えてあげました。

(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「せっかく英語しゃべれるので、こういうふうに住職として活用していきたいという意味で、参拝者の方と会話をとるようにはしてます」


■伝統と格式の世界に新風を吹き込む若き住職



そんな弘昴さん、脱いでもすごいんです。

留学中に始めた趣味の筋力トレーニングを今も続けていて、2019年には、全米の肉体美を競う大会で2位に輝きました。

2年前、寺の敷地にトレーニングジムを開設し、檀家などに筋トレを指導しています。

(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「仏教ともつながってるところがあると思ってて、日常でも心だけ整えるんではなくて、実際体を使って実践することですね」

このほか、今まで寺や仏教に縁がなかった人にも興味を持ってもらおうと、自らデザインしたシャツやジャケットなどもインターネットで販売しています。

1月14日、大日寺の奥の院であり、現在は大日寺が管理している國中寺に檀家が集まり、今年初めての護摩祈祷が行われました。

(檀家)
「(Q.何を書いたんですか)子どもの合格祈願を。親から頼まれてるんで」

(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「願うところの御祈願は家内安全のために。今年、年明けからは石川県の大地震。たくさんの人々が命を失われました。我々は恵まれてみなさんと一緒に新年を迎えることができたことは当たり前のようなことですけど、当たり前のことをまず感謝することを忘れてはいけない」


「当たり前のことに感謝することが大事」。弘昴さんが幼い時に父からよく聞かされた言葉で、今でもその言葉を大切にしているそうです。


(檀家)
「住職が跡を継いでくれてよかったという意見が今多いです」

(檀家)
「若いのに自分から積極的になんでもやってくれる。相談もすべてのってくれる。そういう素晴らしい人です」

(檀家)
「心配ありません」


こうして檀家の信頼を得た弘昴さんの夢は、一歩でも父へ近づくことです。

そのためコロナ禍で閉めていた宿坊を復活させるなど、決して立ち止まることなく歩みを続けます。

(大日寺 大栗弘昴 住職(25))
「お寺の伝統を守りつつ、現代に合わせていくのが一番重要と思ってて、いろんな経験ができる講座とかセミナーとかイベントとか、そういうのをやっていきたいという気持ちはありますね」

伝統と格式の世界に新風を吹き込む次世代の住職。

四国霊場の未来はその双肩にかかっています。

けんみんBOX