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木の皮から作る布 那賀町の木頭地区にのみ製造技術が受け継がれる「太布」の糸づくり【徳島】

2024年1月18日 20:30
木の皮から作る布 那賀町の木頭地区にのみ製造技術が受け継がれる「太布」の糸づくり【徳島】
みなさん「太布(たふ)」という布をご存じでしょうか?

木の皮から作る古代の布で、かつては全国で製造され、衣類や日用品に使われてきました。

しかし近代に入り、綿製品が普及すると次第にその姿を消していき、今では徳島那賀町木頭地区にのみ、その製造技術が受け継がれています。

今年も木頭で「太布」を織るための糸作りが始まりました。

伝承に取り組む人々の想いを取材しました。


■国の重要無形民俗文化財に指定された木の皮から作られる“布”


那賀町木頭地区で古くから作られている「太布」。「コウゾ」と呼ばれる木の皮から作る布です。

その製造技法は、2017年、国の重要無形民俗文化財に指定されました。

地元では今も昔ながらの製法が脈々と受け継がれています。

1月8日、太布を織るための糸作りが始まりました。

作業にあたるのは、阿波太布製造技法保存伝承会の会員や地元住民ら。

糸作りは、カビが生えるのを防ぐため、毎年、厳寒期にあたる今の時期に行われます。

(阿波太布製造技法保存伝承会 玄番真紀子さん)
「今年は台風が少なかったこともあって、良い感じの太さに育っているので、良い原料になるんじゃないかなと思います」


■糸づくりの作業始まる 4年ぶりに一般公開も



佐々木聖夏フィールドキャスター)
「太布の原料となる『コウゾ』を加工する『楮(かじ)蒸し』の作業が始まりました」

前日に刈り取り、1・7メートルほどに切り揃えた「コウゾ」約700本を「甑(こしき)」と呼ばれる釣り鐘状の蒸し器で柔らかくなるまで蒸していきます。

糸作りの作業はここ数年、新型コロナの影響もあり、少人数で行っていましたが、今年は4年ぶりに一般公開され、多くのボランティアや見物客で賑わいました。



(見に来た人)
「迫力のある桶を入れていくのから見せてもらったが、大変興味深かったです」

(地域おこし協力隊 三嶋沙織さん)
「大量生産される物にはない質感があるので、そこも面白いですし、作る工程そのものも手仕事の良さっていうか、面白いなって思ってます」


(佐々木聖夏フィールドキャスター)
「『甑(こしき)』の上部から湯気が出できました。ここから約2時間半じっくり蒸していきます」

続いて、蒸し上がった「コウゾ」を取り出し、柔らかくなった樹皮を剝いでいきます。

(阿波太布製造技法保存伝承会 玄番真紀子さん)
「分かる?こんな感じで一気に剝きます」

集まった約40人による総力戦で一気に作業を進めます。

佐々木聖夏フィールドキャスターも皮剥ぎを体験しました。

(佐々木聖夏フィールドキャスター)
「どんどん引っ張っていく。綺麗に皮がとれました」

皮剥ぎは30分もかからず終了。


続いて、皮を灰と一緒に煮詰める「灰汁炊き」を行った後、木槌で叩いて外側の皮を剥がしていきます。

さらに、もみ殻と一緒に踏んで細かい皮を取り除きます。

こうして残った繊維を河原に運び、那賀川の冷たい水に一昼夜漬けます。


■「太布庵」で糸作りや製品作りに励む保存会のメンバー



保存会のメンバーは毎週火曜日、木頭にある「太布庵」に集まり、糸作りや製品作りに励んでいます。

太布庵の軒下には、川から上げた「コウゾ」の皮が並んでいます。

ここで約1か月ほど自然乾燥させた後、再び皮を剥いだり、撚(の)りをかけたりして、約半年後に糸が完成します。

「太布」を織る織り機の使い方を教えてもらいました。


(阿波太布製造技法保存伝承会 坂井初子さん)
「右足をここの穴の中に入れてここに引っかける」

(佐々木聖夏フィールドキャスター)
「常に腹筋している感じ」

(阿波太布製造技法保存伝承会 坂井初子さん)
「慣れてきたらどこで力抜いたらいいとかあるんやけど、やっぱり腰と足やな」

太布の製造には大変な時間と労力がかかります。


■なぜこの地区にだけ製造技術が継承されているのか



全国で綿製品にシェアをとってかわられる中、なぜここ那賀町木頭地区にだけ、製造技術が継承されているのでしょうか。

保存会の大沢善和会長は木頭という土地の特性が関係しているのではと話します。

(阿波太布製造技法保存伝承会 大沢善和 会長)
「コウゾの木っていうのはね、四国の山地が一番生育が良いみたいで、その関係もあって江戸時代に木綿がどんどん入ってきて、作られ始めた時でもまだ四国山地だけでは、コウゾを栽培してね。わずかに太布を作り続けたらしいんですよ」

かつて木頭の人々は、日用品に使われる太布を織り、お金に換えていたため、この地では貴重な現金収入でした。


(阿波太布製造技法保存伝承会 大沢善和 会長)
「換金作物がなかった。それが一番大きな原因だったよう。そのおかげで(木頭に太布織りが)残ったわけですな」


■先人たちの知恵と思いを未来へと…



保存会のメンバーは現在9人。高齢化が進む中、伝承の火をともし続けるため、若い人にも太布織の魅力を知ってもらいたいと話します。

(阿波太布製造技法保存伝承会 太布織り歴10年 坂井初子さん)
「コウゾを切って、糸にする全工程を経験できるので、それが一番いいかなと思ってます。糸が一番今勉強しどころかな。ちょっとしたことで太くなったり、細くなったりするので」

(阿波太布製造技法保存伝承会 太布織り歴1年 昇純さん)
「人が少ないって、ここで何か役に立てたらいいなと思うのと、思ってた以上に大変だと思うのと、でもこの糸を作る工程は私にはすごく楽しい。もっとやってみたい」

那賀町木頭で受け継がれ、人々の暮らしを支えてきた「太布織」の技術。

先人たちの知恵と思いが詰まったその製法は、今も変わらずふるさとの誇りです。そして伝承の火は、未来へと…。

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