アスベストによる疾患で亡くなった男性の遺族 国に損害賠償を求める訴え【徳島】
徳島県内の製紙工場で勤務していた男性がアスベストを吸い込んだことによる疾患で亡くなったのは、国が工場に排気装置の設置を義務付けなかったのが原因だとして、この男性の遺族が国に損害賠償を求める訴えを起こしていたことがわかりました。
訴えによりますと、亡くなった男性は約30年にわたって県内の製紙工場で機械のメンテナンス業務を担当、作業中にアスベストの粉じんにさらされていたということです。
工場ではマスクを着用するなどの安全配慮はなく、近隣の迷惑防止のため窓を閉めて作業をするよう指示されていました。
男性は2008年にアスベストの吸引と関連性がある悪性胸膜中皮腫と診断され、労災保険の支給を受けたあと、2010年に亡くなりました。
これを受け、10月4日、男性の遺族が国に対し、男性が亡くなったのは国が工場に排気装置の設置を義務付けなかったのが原因だとして、損害賠償を請求する裁判を徳島地裁に起こしました。
代理人弁護士によりますと、今回の訴えは大阪での同様の裁判の最高裁判決で厚労省が賠償金を設定している基準を満たすとして、国が和解に応じた場合は満額の賠償金1300万円を求める方針です。
会社の損害賠償責任は、遺族の意向で追及しないとしています。