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相次いで遺棄される“猟犬” 猟師に欠かせない存在に一体何が…?【徳島】

2024年1月25日 20:30
相次いで遺棄される“猟犬” 猟師に欠かせない存在に一体何が…?【徳島】
イノシシや鹿などの狩りを行う際に、欠かせないのが猟です。

その猟犬が、毎年この冬の時期に遺棄され相次いで保護されています。

いったい何があったのでしょうか?





徳島県海部郡海陽町の中心部から、うっそうと茂る杉林の中の道を車で走る事約15分。


(小喜多雅明記者)
「こんにちは。この子も猟犬?」

(猟師 山下瞳さん)
「全部、猟犬です」


ここにいる6頭の犬は全て猟犬。猟師の山下瞳さんはこの場所で農業を営みながら猟をします。

猟犬とは、飼い主と共に鹿やイノシシといった獲物を追いかけ、飼い主が猟銃で仕留めるのを補助するのが役割です。


(猟師 山下瞳さん)
「吠えて止めて、動物の足(動き)を止めて、囲んで止めて、追い込んでそこを人間が撃つ」

山下さんが猟師になったのにはこんな理由がありました。


(猟師 山下瞳さん)
「畑を守るためです。網で囲っても鹿が飛び込んでくる。イノシシは下から潜ってくる。被害がすごいので何にも作れない(栽培できない)」

(小喜多雅明記者)
「捕まえたイノシシやシカは?」

(猟師 山下瞳さん)
「自分でさばいて、美味しくみんなで頂く。売ったりとかせず」

(小喜多雅明記者)
「家族で食べる?」

(猟師 山下瞳さん)
「はい。それが供養になると思っている」


山下さんは頂いた命への感謝の気持ちは、忘れません。

そして、その生活を支える猟犬はなくてはならない存在。





(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「おととい、野根の奥(高知県東洋町野根)で。顔が猟犬ですね。よく保護される犬の部類」

海陽町で動物の保護活動をしている山本千晴さんです。

山本さんが克明に記した40頭に上る犬の保護記録。その多くが猟犬だというのです。

遺棄されたと見られる猟犬は、海陽町と高知県との県境でよく保護されています。



■中には、栄養失調や感染症を患った状態で発見された犬も…



山本さんによると特に11月から2月にかけて、猟犬の遺棄が増えると言います。

(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「今、※猟期というのもあって、その猟期の終わる時期だが、それでもう使えない犬は捨てるという。山に行かない犬、イノシシに向かって行かない犬」
※猟をする時期(11月15日~2月15日)

(小喜多雅明記者)
「例年多い?」

(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「毎年ありますね」




■遺棄された現場へ



山本さんが遺棄された現場の一つを案内してくれました。

場所は徳島県境のすぐ近く、高知県東洋町です。

(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「白い軽トラックが止まって、犬2匹を降ろした。この広場で遊ばすのかと思っていたら、白い軽トラックがあっちの高知県北川村の方にすごいスピードで逃げて行った。犬を放って。犬はもちろん追いかけて行くが、追いつけるスピードではなく、そのままナンバーも見られないまま、そのままいなくなった。犬はある程度追いかけたらもどってきて、この辺に」


その時、保護されたのがこの猟犬。名前はイッサ。オス犬です。

保護された時、後ろ足には傷があり、血が出ていたそうです。

傷の理由は分かりませんが、当時は十分に走ることが出来ませんでした。






(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「歯を切られかけた跡と下の歯が切られた跡が」

(小喜多雅明記者)
「下が切られていますね」

上の犬歯には削られた跡が、下の犬歯は咬まれた時にケガをしないためにでしょうか、削られた跡がありました。


いったいどんな飼い主の元で暮らしていたのか…。
また、飼い主を探す手がかりはないのでしょうか?


(小喜多雅明記者)
「マイクロチップはついてないんですか?」

(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「付いてないです。ほとんど。(マイクロチップが)付いた犬は会ったことないです。一匹も付いてない」


2022年6月以降に生まれた犬にはマイクロチップの装着が義務付けられています。

しかし、それ以前に生まれた犬に対しては義務付けられていません。

山本さんが保護した猟犬にはマイクロチップが装着されていませんでした。

そのため飼い主を探す術がないのが現状なのです。


(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「猟友会でマイクロチップ装着の補助があるみたいだが、ほとんど利用者はいないような状態」

(小喜多雅明記者)
「保護しても何も分からない?」

(動物の保護活動をする 山本千晴さん)
「そうなんですよ。そういう状態なので、無法地帯ですよね」




■相次ぐ猟犬の遺棄 その背景は…


猟犬保護の活動をする団体の代表に話を聞きました。


(GUNDOG RESCUE CACI代表 金子理絵さん)
「猟犬を捨てるという背景にはやはり、その狩猟に使えなくなったことがあると思う。獲物に向かっていかないとか、それと老犬になったということ、何か問題があって、狩猟ができなくなって遺棄されていく」

一方で金子さんは猟師の存在は否定してはいけないと話します。

(GUNDOG RESCUE CACI代表 金子理絵さん)
「ハンター(猟師)がいるおかげで農作物が守られている、という農家もたくさんいる。心無いハンターのおかげで、きちんと飼育されているハンターにかなりの迷惑が掛かっている」


猟犬と共に暮らす猟師の山下瞳さんはこう訴えます。

(猟師 山下瞳さん)
「(犬は)しゃべれないから、ふんふんと鳴いたり吠えたり、この吠え方でお腹すいたとか、何かおるから山行きたいとか、本当に小っちゃい赤ちゃんの時から育てている子どもと一緒で、楽しいし一緒にいて幸せ。生き物ですから、人間と同じ命がありますから、やはり道具みたいに使い捨てにすることは、絶対に許されない。もう人間のすることじゃない」

飼い主に従順な猟犬は、捨てられてもその場所で飼い主が迎えに来るのを待ち続けると言います。

言葉のないあなたに代わって伝えたい、その犬たちは心を持った命です。

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