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【熊本地震8年】なぜ「再建した住宅を建て直し」?益城町の男性 復興との間で揺れる思い

2024年4月9日 20:41
一方、道路を広げるために移転が必要になった住宅や店舗などは、倉庫を含め139棟あります。小嶺さんも移転した1人です。県道沿いにあった小嶺さんの自宅兼店舗は熊本地震で全壊。翌年に県道の4車線化が決まり、土地の一部が道路になるため、小嶺さんは道路から15メートルほど離れた場所に自宅を再建しました。
ところが…。
■小嶺隆さん
「また建て直し。何回せなんですか」

予想していなかったことが起きました。また、家を建て直さなければいけなくなったのです。

理由は、区画整理事業です。県が進める復興事業の一つで、区域内に商業や文化の拠点を集め、災害に備えた避難ができる公園などを整備します。同時に宅地を整え、暮らしやすいまちづくりを進める計画で、10年がかりの大きな事業です。

ます。

益城町と県が事業の検討を始めたのは熊本地震が起きた2016年。その約2年後の2018年10月、国が事業を認可し、道の形状や区画などが決まりました。この計画で移転が必要になったのは95棟。しかしこの時、小嶺さんなど約半数はすでに自宅などの再建を終えていたのです。

地震の翌年の2017年に自宅を再建した小嶺さん。後になって区画整理事業が進められることになった結果…。
■小嶺隆さん
「ここから先が道路その道路につながります」

4車線化に配慮して道路から離れた場所に家を建てたものの、区画整理で作られる新たな道路が庭に重なることに。土地の割り当て場所も区画整理で再びずれることになり、更なる家の建て直しを余儀なくされたのです。

費用は県が負担するものの度重なる引っ越しに疲れも。

■小嶺隆さん
「簡単にいうけど、大変なことですよ、労力から。不安です。住んでいる人の身にもなってほしい」

影響は仕事にも及びました。小嶺さんの模型店が入る仮設商店街が区画整理の対象にかかり、今年5月末での閉鎖・移転が決まったのです。今の仮設商店街は、小嶺さんの家の道向かいにあります。しかし、移転先は家から500メートルほど離れてしまいます。

今年、75歳を迎える小嶺さん。
■小嶺隆さん
「店はもうやめるかもしれない。もう年寄りやけんが」