研究プロジェクトの最前線 地下水の水質は大丈夫?半導体関連企業が集積する熊本
その背景にあるのが、豊富な地下水です。半導体の製造に必要な大量の水が安定して供給できるため、企業にとって魅力的な土地となっているのです。しかし、県民からは“懸念”も。
■熊本県立大学 黒田忠広理事長(2024年10月)
「県民の皆さまから、そんなに地下水を使っても大丈夫かと尋ねられます。その答えは、“サイエンスが示すべき”であります」
そこで動き出した企業や大学。水資源の保全とともに水質に変化がないか分析などを行うため、共同研究でのプロジェクトをスタートしました。
プロジェクトのメンバー、熊本県立大学の石橋康弘教授です。
■熊本県立大学環境共生学部 石橋康弘教授
「資源循環科学という研究室です。排水処理や廃棄物処理が専門です」
水質調査は、どのように行っているのでしょうか。見せてもらったのは、石橋教授の研究室が手がける井戸から採取した地下水の水質調査です。
(石橋康弘教授)
「ポンプを使って濃縮させるためカートリッジを通す装置です」
地下水にわずかに含まれる物質を調べるため、まず、液体を濃縮します。
次に使用するのが「液体クロマトグラフ質量分析装置」です。水の成分を分離させて分析することができます。
(石橋康弘教授)
「物質がどれだけ検出されたか、高さでわかるようになっています」
調査で得られた結果は、どのように評価するのでしょうか。指標の一つとなっているのが、国が定める環境基準です。水質を一定レベルに保つために設定されています。石橋教授は、環境基準と比較しながら数値を慎重に評価しているといいます。