「手持ちの玄米がどんどん減って」コメの高騰 富山県内の動きは
コメの価格高騰が続くなか、県内の小売店でも、近くさらなる値上げが予定されていることがKNBの取材で分かりました。
高騰はいつまで続くのか、また、備蓄米の流通はどうなっているのか、県内の現状をお伝えします。
富山市の市街地にあるJAの直売所です。
武道キャスター
「こちらの店のレジの横にコメの 販売コーナーがあります。今、 コメの購入は1家族1袋に限定されています。なかでも人気の高い県産のコシヒカリの 玄米は、5キロまでしか購入できません」
店ではコメの品切れを防ぐため先月から玄米の10キロや30キロでの販売を取りやめました。
JA富山市まんなか市場 竹内重成店長
「私らが手持ちで持っている玄米の数がどんどん減ってきまして、苦渋の決断で、ひとりでも多くの方の手元に商品が届くような形で販売させていただいております」
農林水産省のまとめでは、全国のスーパーおよそ1000店でのコメの平均小売価格は、今月20日までの1週間が5キロあたり4220円で、前の週より3円値上がりしました。
16週連続の値上がりとなり、過去最高を更新しています。
富山県産のコシヒカリの価格も、この1年間で2倍以上に値上がりしています。
食卓には欠かせない主食の高騰に、買い物客からは。
「仕方ないよね。それよりおコメがなくなるかと思って買いに来た。そっちの方が心配」
そんななか、KNBに県内の農業関係者から寄せられたのはさらなる値上げの情報でした。
「コメを納入してくれている業者より来月から納入価格を10キロのコシヒカリで1500円高くすると案内されました。価格を上げて少しでも農家の手取りを増やしたい、それを財源にコシヒカリの追加概算金をまた出す予定と聞いています」
値上げの話は、取材したこちらの店でも。
JA富山市まんなか市場 竹内重成店長
「ちょっと値上げをする通達は来ています」
仕入れ値が上がれば、販売価格も上げざるを得ず、頭を悩ませています。
武道
「もうけの部分は」
竹内店長
「ほとんどないですかね。本当に辛いところがあって、少しでもお安く消費者の方にお届けしたいなとは思っているんですが、やはり物流のコストとか保管するためのコストも上がっていまして、致し方ないところもあるのかなと思っております」
一方、コメの品薄と高騰を和らげようと、政府が放出を進めている、備蓄米。
石川県ではきょうから小売店で販売が始まり、福井県ではすでに販売されています。
県内はどうなのでしょうか。
全農系の米の卸しを行うJAライフ富山に問い合わせると「備蓄米は入荷しておらず、今後入ってくる予定も今のところない」という回答でした。
一方、備蓄米を一刻も早く消費者に届けたいと考える業者もいます。
射水市でコメの卸売業を営む大門食糧です。
武道
「減り方としては例年よりも早いですか」
大門食糧 米澤治夫社長
「早いです。とんでもない量出ていますね」
米澤社長はコメの品薄が改善しない現状に頭を抱えています。
米澤社長
「去年の新米からずっと パニックなんですよ、うちのお米がメルカリで売られているんですよ。もう腹が立ちましてね」
米澤さんによると、備蓄米の入札資格があったのは年間5000トン以上を売り上げる大手の集荷業者で、小規模な卸売業者は参加できませんでした。
しかし、今回3回目の放出から、卸売業者の間の売買が可能になったため、より多くの卸売業者に備蓄米が流通することになります。
米澤さんは県内の米屋が希望する量をまとめ、県外の落札業者から引き渡してもらう準備をしています。
米澤社長
「(卸売業の)仲間から よく電話がかかってきます。(備蓄米が)回ってきたらすぐ出そうねって」
武道
「少しでも皆さんのご飯、食べ盛りのお子さんのいる家に渡ってほしいですね」
米澤社長
「そういう家には安いおコメで回してあげたいですね」
コメの価格高騰はコシヒカリのようなうるち米だけではありません。
あすは、酒米の値上がりによる日本酒づくりへの影響についてお伝えします。