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【5月11日は母の日】生花店ない島にカーネーション 45年贈る男性(77)今年で最後に 感謝の手紙を原動力に「うれしい」

2025年5月9日 18:41
【5月11日は母の日】生花店ない島にカーネーション 45年贈る男性(77)今年で最後に 感謝の手紙を原動力に「うれしい」

 5月11日は「母の日」です。カーネーションを贈るという人も多いのではないでしょうか。生花店がない三島村と十島村の子供たちに40年以上、カーネーションを贈り続ける男性がいます。しかし77歳の喜寿を機に今年で終わりにすることを決めました。最後のプレゼントに込めた思いとは。

 鹿児島市本名町にある「花のたちゆき」。作業を行っているのが田知行義久さん(77)です。

 島に生花店がない三島村と十島村。母の日にカーネーションをプレゼントしてもらおうと毎年、島の子供たちに無償で花を贈っています。

(花のたちゆき・田知行義久さん(77))
「もらってくれて喜んでもらえればありがたいかなというのと渡しながらお母さんありがとうと子供たちが発してくれればそれでいい」

 その期間はなんと45年。最初にカーネーションを贈った子供たちの中には孫がいる世代もいます。この取り組みを始めたのは、島の子供たちと交流したいと考えたのがきっかけでした。77歳の喜寿を迎えた田知行さん。カーネーションを島に贈るのは今年で最後と決めました。

(花のたちゆき・田知行義久さん(77))
「自分たちとしてはよくやったなというのが本音。いつかどこかで何かの区切りをつけないといけないかなと。30代で始めたのが77歳になったので」

 子供の頃から父の背中を見続けてきた二男の義仁さんは。

(二男・義仁さん)
「『生花店のない島の子にお母さんに感謝する日を作りたいんだ』と照れくさそうに言う父が、『これが年に1回の贅沢だ』と言って自慢するわけでもなく続けている親が誇らしくて」

 ここまで続けて来られたのは子供たちからの感謝の手紙が原動力になっていると言います。

(男の子)
「家に帰ったら母が早速、花瓶にカーネーションを飾っていました。飾ったら家の中がとても華やかになりました」

(女の子)
「田知行さんからもらったカーネーションでありがとうの気持ちを届けたいです」

 普段照れくさくてなかなか伝えられない感謝を伝える母の日。カーネーションがあれば伝えられる、そんな子どもたちも多いんだそうです。

 夕方。フェリーとしまの待合所には田知行さんの姿がありました。「母の日」に間に合うように、子供たちに届ける最後のカーネーションを村の職員に託すためです。

(花のたちゆき・田知行義久さん(77))
「親あっての自分たちだと。ここまで育ててくれてありがとうということを子供たちが心から思ってくれたら」

 田知行さんが子供たちに贈った最後のプレゼント。込められた真心が海を越え、お母さんに感謝を伝える子供たちの背中をそっと押しています。

最終更新日:2025年5月9日 18:41