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“義務教育の新たな学びの場”として 県内初の「夜間中学」今年4月佐世保市に開設《長崎》

2025年3月26日 15:00

当時の日本は、高度経済成長期。

田中さんは仕事を求めて上京し、高校には進学しませんでした。

(田中 敬男さん)
「(仕事で)恥をかいたことがある。いろんな漢字や言葉を間違えたりとか。九九もやり直さないと」

履歴書に書ききれない程、これまでに転職を繰り返してきました。

歳を重ね、勉強に対して心境の変化があったそうです。

(田中 敬男さん)
「人間、死ぬまで勉強っていうじゃないですか。物事を知るということは、幸せ。面白くない、教養がないと。少しでも知識を」

夜間中学が始まる春を心待ちにしています。

(田中 敬男さん)
「欠席しないで100%出席したい気持ち。わからないところは、積極的に聞こうかな」

夜間中学は、昼間の中学校と同じ「学校教育法」に規定する中学校として、教員免許を持つ先生が教えます。

公立の場合、授業料は無償です。

授業は平日の夕方からで週に5日。

昼間、仕事をしている人も通うことができ、全ての課程を修了すれば、中学校卒業となります。

◆日本国籍を取ったものの…「改めて日本語を学び直したい」

佐々木 潔さん63歳も、入学を希望している一人です。

今は特別養護老人ホームで、介護ヘルパーとして働いています。

(佐々木 潔さん)
「朝の食事を食べさせて、歯磨きをして、あとはシーツ交換。
きれいな布団で寝かせてあげたい」

台湾の出身で、24歳の時に来日。その後は結婚し、2009年に日本国籍を取得しました。

子どもの頃に病気で母親が亡くなったため、妹たちと共に親戚の家に預けられていたそうです。

(佐々木 潔さん)
「勉強ができないからとか、親がいないからとか言われて、反抗期で学校にあまり…。
町でぶらぶらしたり勉強はしていなかった」

来日して30年。

夜間中学では、改めて日本語を学び直したいと考えています。

(佐々木 潔さん)
「国語は一番勉強したい。読みはできるけど、本当は書き方が全然できないので。日本国籍を取っているのに、ちゃんと日本人に、ちゃんと理解できる文章ができるようになりたいの。希望はそういう感じで。楽しみです」

現在、全国に53校設置されている「夜間中学」。

新たな学びやその楽しさを提供する場として、期待されています。

(佐世保市教育委員会 学校教育課 立岡 誠司 副主幹)
「国語、数学の学び直しが多くありましたので、そういったところは重点的に取り入れたいと思っている。
(入学希望者は)すごく学びに対して意欲が強くあるので、そういう方々と一緒に学ぶのは、不登校の子たちにとってもプラスになると考えています」


【NIB news every. 2025年1月31日放送より】

最終更新日:2025年3月26日 15:03