同性カップルの住民票 全国初の“続き柄に夫” あれから1年経過も未だ国の対応進まず《長崎》
一方 県内で導入しているのは、大村市のほかは長崎市と時津町だけで、人口カバー率は全国で最下位となっています。
(藤山 裕太郎さん)
「以前(住んでいた)兵庫県では、カミングアウトしていなくて誰にも言ってなかったのに、(住民票のニュースを知って)“おめでとう” と前の職場の人たちからメッセージが来た」
大村市に移住してから2人は、LGBTQなどの性的マイノリティについて、市民の理解を深める活動を続けてきました。
ただ、総務省が住民票を巡る大村市の対応に「実務上の問題がある」との見解を示したほか、厚生労働省は同性カップルを事実婚と認めず、雇用保険の移転費を支給しない判断を示すなど、国の動きは、2人が願う方向には進んでいないのが実情です。
全国的にも注目を集めた、住民票の交付から1年。
理解の広がりを感じる一方で、国や自治体の制度の見直しに至っていないことへのもどかしさが募ります。
(藤山 裕太郎さん)
「以前出て行った20代の自分が住んでいた長崎県よりは、進んでいると思う一方で、諫早市など、ほかの自治体も変わってほしい」
(松浦 慶太さん)
「市民レベルでは(意識が)すごく広がっていると感じる一方で、(大村市)以外の自治体への波及が少ないと感じていて、多様性を認め合える社会であってほしいと思う」
松浦さんは去年5月ハローワークなどの紹介で就職し、引っ越しをする際に支給される移転費について、藤山さんを「親族」として申請。
厚生労働省は今年1月、民法で同性婚が認められていないなどとして、松浦さんの移転費のみを支給する決定をし、松浦さんはこれを不当として審査請求していました。
松浦さんは今後、雇用保険の移転費を巡って、藤山さんへの支給を認めないとした決定の取り消しを求めて、裁判で争う方針です。