「教育現場」「未成年遺族」伝え続ける事件の“教訓” 佐世保小6女児同級生殺害事件から20年《長崎》
鶴崎 耕一さん76歳。
事件発生当時、佐世保市の教育長で、対応にあたりました。
被害女児の兄をケアにつなぐことができなかったと振り返ります。
(元佐世保市教育長 鶴﨑 耕一さん)
「事件そのもののコアの部分に我々も目が行き過ぎていて、(兄の状態)を見抜けなかったというところもあった。(女子児童の兄も)どこかで吐露したいという思いがあった(のだろう)」
事件を受け佐世保市は、2015年度から「心の状況調査」をスタート。
児童生徒の自己肯定感や生活習慣などを把握し、理解しようと小学2年生から中学3年生までを対象に毎年実施しています。
(元佐世保市教育長 鶴﨑 耕一さん)
「我々側にいわゆる臨床心理士や心理療法のような知識がまるでなかったということもある。ある意味、教育と福祉と医療と、そういったものが交わっていくような世界を描き出していく必要がある」
事件後、誰を頼ればいいかわからず、もどかしさを抱き続けたと話す被害女児の兄。
(被害女児の兄)
「遺族の未成年の子どもに対して、声をかけることをためらわないでほしい。声をかけることが最初のスタートラインなので、そのスタートラインを支援者側が切らないでほしい。はっきりと言えることとしては、まずちゃんと個別で話を聞く。15歳ぐらいの子どもであれば、親を交えなくて話をしたとしてもいいのではないか」
事件以降、佐世保市は6月をいのちについて考え、見つめる「強調月間」とし心の教育を進めています。
また、教員は事件の記録をまとめた「調査報告書」を「教訓」として読んでいるそうです。
一方で、この20年で教育環境は一変。
インターネットやSNSなどが広く普及し、子どもたちがトラブルに巻き込まれる可能性が高まっていて教育現場は対応を迫られています。
(黒田 優一校長)
「犯罪に巻き込まれないとか、色々な情報を自分で判断して適切に取り扱う、情報モラル教育も含めて日々指導している」