長崎くんち【八幡町】「弓矢八幡祝い船」と対照的 滑らかな所作で魅了 詩吟に合わせ舞う「剣舞」《長崎》
加緒里さんの家族は “くんち一家”。
父は根曳。兄は囃子で、そろって八幡町の奉納に臨みます。
稽古を見守る祖父の菅 裕昭さん68歳は、前回の長采で「弓矢八幡祝い船」が初めて奉納された1985年から、欠かさず参加してきました。
(祖父 裕昭さん)
「(加緒里さんは)覚えがよくて、結構 決めポーズも頑張っている」
(少年剣士 菅 加緒里さん)
「うれしいです」
(祖父 裕昭さん)
「16人がいっぺんに揃って、勇ましい姿を見てほしい」
剣舞の演目は二つ。
「扇の的」とは、平安時代の源平合戦で 海上の小舟に掲げられた扇を、那須与一が弓矢で射抜く場面を表現します。
もう一つは。
(少年剣士たち)
「八幡公、エーィ」
源頼朝の祖先で、武勇の誉れ高い源 八幡太郎義家にまつわる詩吟。
共に、宮地嶽八幡神社にまつられている戦の神様「弓矢八幡」にも通じる歴史の一幕です。
(指導担当 細田 輝風さん)
「しっかり前見る。前見る」
21歳の細田 輝風さんは、少年剣舞の指導担当です。全体を取り仕切る三木さんの弟子で、剣舞歴は17年。
八幡町の「剣舞」に憧れ、4歳で弟子入り。前回10年前のくんちは、剣士の年齢制限で出られず低学年を指導しました。
今回も裏方として、6人の少年剣士を指導しています。
(指導担当 細田 輝風さん)
「初めてする人ばかりなので、どうしたら格好よく皆さんに見せることができるか、感動を与えらるような剣舞ができるよう指導している」
三木さんも愛弟子の細田さんに、全幅の信頼を寄せています。
(剣舞師匠 三木 勝風さん)
「(輝風が)いてくれるおかげで、私も全体や大人の方に集中することができたので、今回の出来に関しては(輝風の)力が大きい」
剣舞で重要なのは、一糸乱れぬ日本刀と扇の動き。何度も、何度も、息を合わせて振り付けを繰り返します。
弓矢八幡祝い船の「動」に対し、「静」を体現する剣舞。
(加緒里さんの祖父 裕昭さん)
「他の町内にない演し物で、八幡町伝統の踊りなので、勇ましい刀を使った踊りを見せたい」
(少年剣士 菅 加緒里さん)
「最後の手を上げてピーンと伸ばすところを頑張ってのいる。全部頑張って、褒められたい」
研ぎ澄まされた気迫で、観客を魅了します。