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「届いていないのでは?」アメリカ証言ツアーから見つめ直す 被爆地のメッセージ伝え方《長崎》

2023年12月2日 12:38

◇伝わらない?居眠りする生徒も

最初の訪問地、ノースカロライナ州のローリー。

ある高校で、講演していた時のことでした。

居眠りしている生徒。

井原さん
「始まった瞬間にあれ?伝えるのが難しいなと。シーン とはしていたが、どういう反応
 なのかわからないまま…」

その後も、本当に思いが届いているのか。メンバーが不安を抱えることもありました。

被爆者 三田村 静子さん
「きょうなんかはおとなしい人で年代からいうと(意見するのが)恥ずかしい気持ちが
 あるんじゃないか」

◇話し合い重ね伝え方工夫

話し合いを重ね、伝え方を試行錯誤しながらたどりついた最後の都市、ポートランド。

井原さん
「我々がどういうメンバーなのかという説明が少し足りなかったという反省があった
 ので、ちょっとやってみたいことがあって。 私から被爆者の訪問団である
 という説明を英語でする」

「ヒバクシャという言葉を知っていますかというのを問いかけます」

宿でのミーティングで切り出したのは井原さん。

「若い世代により関心を持って 聞いてもらいたい」と 提案しました。

山口さんも感じていたことをぶつけます。

山口さん
「(質疑応答では)日本語で(聴衆に向かって)全部答えてもらってから
 誰かが訳すというふうにしたくて。直接私たちに日本語で答えを言われちゃったら、
 ここで会話している間に、見ている人たちは何が起こっているかわからないから」

◇生まれた議論

話し合いを経て臨んだ大学での集会。

井原さん
「ヒバクシャを知っていますか」「原爆で生き残った人たちのことです」

井原さんは冒頭でツアーの目的を丁寧に紹介。山口さんも自らの言葉で
メッセージを発信しました。

山口さん
「キーワードの一つ目はつながること、もう一つは継続すること。考え続け、
 同じ分野の人と交流を続け、きょうのことを覚えていてください」

そして、被爆者の朝長 万左男団長が「アメリカには核時代を終わらせる責任がある」と問いかけると会場で議論が生まれました。

聴講者
「仮にアメリカが核兵器を手放せば、国際的な立ち位置を見失ってしまうん
 じゃない?」

「アメリカは特別じゃなく、国際社会の一員と考えないと。
 我々が先頭に立たなくて誰が核兵器を廃絶するのか」

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◇核大国市民へのメッセージ