“アメリカにおける原爆の描き方の限界が見える” 映画「オッペンハイマー」被爆地の受け止めは《長崎》
映画は現在公開中です。
(佐藤アナ)
観た方たちが、それぞれの感想を持っていますね。
(加藤記者)
VTRの中でも、爆風のシーンから被爆者の顔や苦しみを感じ取ったという感想がありましたが、私自身も映画を観ながら、これまでに取材した被爆者の方たちのことが思い浮かんで、心がざらついたり、憤りを覚えたりする場面が何度もありました。
(佐藤アナ)
映画では、原爆による被害が直接的に描かれていないんですよね。
(加藤記者)
はい。それについてVTRに登場した被爆者の本田 魂さんは「核兵器の恐ろしさを知ってもらうためには、もう少し場面を入れてほしかった」と話していました。
その一方で、被爆者で医師の朝長 万左男さんは「セリフの中に何十か所も、被爆の実相にショックを受けたことが込められ、あれで十分だった」と話すなど、被爆者の中でも受け止めはさまざまでした。とにかく、いろいろな人と意見を交わしたくなる映画だと感じました。
映画のラストは「絶望」をあらわす場面で幕を閉じるんですが、クリストファー・ノーラン監督は「現実の世界での適切な対応は “絶望” ではなく、世界の核兵器の数を減らすよう、政府や政治家に圧力をかけることだと思う」と語っているんです。
監督は、それが目的でこの映画を作ったわけではないとしながらも、再び人々の関心を喚起できたならばいいとも話していました。
“今なお続く核兵器の時代” を生きる私たちが、この映画をきっかけに、被爆者や世界の核実験の被害者に目を向けたり、どうしていくべきなのかについて、議論が起こってほしいと感じます。