「救えたはずの人命 悔しさ今も」雲仙普賢岳大火砕流から33年 火山学者が未来へ “災害の記録”《長崎》
▼今後の懸念「大きな地震」
現在、火山活動は落ち着いている普賢岳。
一方で、太田さんが懸念するのが「地震」です。
島原半島では、60年に1度のペースで大きな地震が発生していることから「いつ大規模な揺れが襲うかわからない」と話します。
(九州大学名誉教授 太田一也さん)
「雲仙火山とその基盤にあたる南島原の北有馬より、南のほうとの境目(での地震)が私は一番怖い。地震そのものを食い止めることはできないから、発生した場合にまず自分の命を守るためにはどうすればいいのか、そういうことを考えてもらうために、過去に起きた地震被害を記録に残しておこうと。その成果が『雲仙火山』という本。噴火は前兆があって逃げる余裕が十分あるが、地震はそうはいかない」
▼重要なのは「災害記録を残し 次世代に伝え続ける」
大火砕流から33年。当時を知る人が徐々に少なくなり、災害の記憶の「風化」が懸念されています。
被災現場には案内板なども設置されていますが、老朽化したものも目立つように。
太田さんは、災害の記録を残し、次世代に伝えること。
そして、1人1人が命を守るための行動を考えることが重要だと伝え続けます。
(九州大学名誉教授 太田一也さん)
「個人は個人、行政は行政、それぞれどうすればいいのかということを考えることが大事だと思う。それは自分の命を守るため、地域社会を守るためだから」
太田さんが出版した本「雲仙火山」は、インターネット通販のAmazonや県内の主な書店で販売しています。