子どもの健やかな成長を願う「武者のぼり」日本の伝統と明治時代から続く技術を親子で未来へ《長崎》
担当の浅田さんは、この道30年のベテラン職人です。
(染め付け担当 浅田まみえさん)
「最初から最後まで神経を使う。“失敗をしない” ということが、常に頭にある。初心を忘れないようにと。商品なので…」
染め付けの仕上げは「顏描き」です。
直一郎さん自ら筆をとり、表情を入れて仕上げます。
(4代目 川口直一郎 社長)
「顔が一番難しい。魂が入るわけですから。表情一つで変わってしまうし、100人が見て100人とも “いい顔だ” と思ってもらえるものを目指してやっている」
総仕上げとなるのが「縫製」。
生地の端を裁断して、形を整えます。
(縫製担当 上床紗世さん)
「印を付けたりしないので、フリーハンド。基本はまっすぐ縫う作業なので、斜めにならないように同じリズムでやっている。
ここまで1週間以上かかるので、失敗しないように一枚一枚丁寧に心掛けている」
約10日間をかけて、完成します。
(4代目 川口直一郎 社長)
「一つひとつ手作りでやるので、思いがこもっている。それはあると思う」
120年を超える歴史の一方で、少子化やマンション住まいの増加など、会社を取り巻く環境は、時代と共に厳しくなっているそうです。
(妻 克美さん)
「私が嫁に来た時おそらく一番ピークだった。注文が集中した時、330枚340枚という時があったので。(今は)10分の1ですね」
(4代目 川口直一郎 社長)
「(経営環境は)厳しいことは厳しい。非常に…」
そんな時、新しく会社に加わったのが長男の直人さんでした。
直人さんは佐世保西高校を卒業し、進学先の福岡の大学を卒業後、東京の広告代理店で働いていました。
(長男 川口直人さん)
「(創業)100年という会社は、簡単になくしてはいけないと考えて。戻って来ようかなと考えた」
代理店での経験を生かし、会社に新しい考え方や手法を取り入れました。