被爆者の思いを“カタチ”に「原爆への怒り」「平和への願い」死没者名簿筆耕続ける被爆2世《長崎》
毎年の筆耕を通じ、実感していることがあります。
被爆者がいなくなる時代が近づいていること。
そして、継承の大切さです。
▼大切な被爆者の言葉 『書』として未来へ伝え残す
(書道家 森田孝子さん)
「80代、90代の方がほとんど。初めて被爆者の高齢化を身に染みて感じた。私にできることは『書』で伝えていくしかない」
“平和の願い“ を『書』で伝えたい。
2012年からは、毎年「書道展」を開いています。
被爆者と直接話をし、届けたい言葉を表現。約25点を展示しています。
中でも 印象に残っているのが…
(書道家 森田孝子さん)
「最初の作品。下平さんから言葉をいただいて作品にした」
半世紀にわたり、被爆者運動の先頭に立ってきた 下平 作江さんの言葉です。
(書道家 森田孝子さん)
「~ “平和とは” 人の痛みがわかる心を持つ事です ~
下平さんが被爆されて一番『人の優しさがあれば、きっと戦争は起こらないのではないか』と感じられた時の言葉だと思う」
▼「直接話を聞くと肌のぬくもりを感じる」
7月26日。この日訪れたのは、大村市。
(被爆者 六田正英さん)
「よろしくお願いいたします」
爆心地から1.6キロの長崎市船蔵町で被爆した 六田 正英さん 91歳。
六田さんは、原爆の惨状や平和への思いを短歌にしています。
(被爆者 六田正英さん)
「~ 奉安の 死没者名簿に加わりし 被爆の妻に初めての夏 ~」
2015年に亡くなった妻・眞砂子さんへの思いをつづった短歌。
森田さんは この歌を新たに『書』にすることにしました。
(書道家 森田孝子さん)
「悲しみとかさみしさとか、そういうものがやっぱりありましたか?」
(被爆者 六田正英さん)
「そうですね。(短歌を作ることで)供養になると思った」
(書道家 森田孝子さん)
「直接お話を聞くと、肌のぬくもりを感じます。被爆者の人でしか感じ取れない、今まで生きてこられた証としてのお気持ちを受け止めたいと思っています」