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13年ぶり韓国から対馬へ 盗まれた仏像が戻り住職や檀家も安ど 16日から博物館で特別公開も《長崎》

2025年5月12日 18:55
13年ぶり韓国から対馬へ 盗まれた仏像が戻り住職や檀家も安ど 16日から博物館で特別公開も《長崎》

地域住民の “心のよりどころ” が、約13年ぶりに帰ってきました。

対馬市の寺から盗まれ、その後、韓国で見つかった仏像が12日に寺に到着し、法要が執り行われました。


対馬市の観音寺に13年ぶりに安置された『観世音菩薩坐像』。

県の有形文化財で、寺の本尊です。

12日朝、韓国から対馬に到着し、寺では法要が執り行われました。

(観音寺 田中 節竜住職)
「この観世音菩薩を見た時に、やっぱり長かったなと。ようやく(帰ってきた)という思いが一番。檀家に対してはこれまで長く、よく辛抱していただいて皆さんのおかげで、こうやって返還がかなったことは大変嬉しい」

仏像は2012年10月、韓国人窃盗団によって盗難。

翌年 同じ時期に盗まれた、対馬市海神神社の国指定重要文化財「銅造如来立像」とともに、韓国で発見されました。


「銅造如来立像」は2015年に返還されたものの、観音寺の仏像を巡っては、韓国の浮石寺が「中世に日本に略奪された」として所有権を主張し、法廷闘争に。

1審は浮石寺への引き渡しを命じましたが…。

(田中節竜 住職)
「所有権は我々にあると、強く主張してきた」

2審では、観音寺の田中節竜 住職が所有権を訴えるなどした結果、1審判決は取り消され、韓国最高裁もおととし10月、観音寺に所有権があると認める判断を示していました。

浮石寺では10日、仏像との別れの法要が開かれ、観音寺側に無事引き渡されました。


(清島 愛 記者)
「観音寺の前には檀家の方々が集まり、仏像の到着を待ち構えています」

寺には檀家や関係者ら約40人が集まり、拍手で仏像の帰還を祝いました。

(檀家)
「長い期間が立ったが、帰ってこないかなというのが本音。韓国の人たちにも返還はしてもらったので、感謝の気持ちは持たないといけない」

法要に立ち会った、総代長の村瀬 辰馬さん。

父の敬三さんは盗難にあった際の総代長で、仏像が戻ってくることを待ち望んでいましたが、願いはかなわないまま 2022年に亡くなりました。

(観音寺 村瀬 辰馬 総代長)
「盗まれたものが戻ってくることは、なかなかあり得ない。父にもそう言いたい。やっと帰ってきたよ、取り戻したよと報告したい」

法要を終えた仏像は午後、保管先となる対馬博物館に運び込まれました。

(比田勝対馬市長)
「観世音菩薩坐像は無事に帰ってきた。これまで通り、韓国との交流は深めていきたい」

仏像は16日~来月15日まで、対馬博物館で特別公開されるということです。

最終更新日:2025年5月12日 19:07