強く美しく“杖”の道「目的は攻撃よりも相手を制圧」日本古来の武術 “杖道” 護身の技を伝承《長崎》
江戸時代に、あの宮本武蔵を破ったと伝えられる剣豪がたしなんだ武術『杖道』。
使うのは128センチの木の棒。攻撃することより、相手を制圧するための技術です。
その “護身の技” を伝承する、団体が諫早市にありました。
攻撃よりも、鋭く太刀をさばいて相手を制圧。打ち込みは変幻自在です。
剣道、居合道と並ぶ「三道」の1つ。その名も……『杖道!(じょうどう)』。
木の棒を武器とする日本古来の武術で、相手の武器を払う技のほか、打つ技、突く技もあります。
(橋本 幸一 師範)
「これが杖。長さが1メートル28センチ、直径2.4センチある。前も後ろもない。これが前になったり後ろになったり」
杖道歴35年。7段の資格を持つ、橋本 幸一さん 66歳。諫早市で週2回、稽古に励む「長崎成杖会」の師範です。
『杖道』は、個人や2人1組で決められた “形” を競い合う「形武道」。
12種類ある形を組み合わせて姿勢や打ち込みの正確さ、間合いなどを審査します。
『杖道』の源流は、“警察の逮捕術” の元とも言われます。
橋本師範は、県警察学校でも22年間『杖道』を指導。その功績が認められ先月、感謝状が授与されました。
(橋本 幸一 師範)
「棒が長いから、力では曲げきれない。…ということは、人間の体を曲げるしかない。やることや形が決められている。それを稽古する」
先月13日、長崎市で行われた講習会には、外国人を含む約20人が参加。
(橋本 幸一 師範)
「なるべく腰は浮かさない方がいい。この状態で頭の位置を変えないで、そのままスーッと。やはり姿勢が美しくないと見応えがない。剣も一緒。構えたら絶対この構えで終始いくんだと」
会員の1人で『杖道』をはじめて6年になる、長崎外国語大学のドイツ語教授のマラ・クラウディアさん 63歳。
(マラ・クラウディアさん)
「私が長年、柔道に空手と剣道もやって、ひざがパンクしてできなくなってしまった。『杖道』を試してみないかということで、私の体でもできると思った。やればやるほど面白くなった」