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島っ子だけで勝ち獲った初の甲子園出場「壱岐高野球部 強さのワケ」大会に向け島を挙げての大応援《長崎》

2025年2月28日 14:00
島っ子だけで勝ち獲った初の甲子園出場「壱岐高野球部 強さのワケ」大会に向け島を挙げての大応援《長崎》


“100年に一度の奇跡” と呼ばれる、快進撃を見せた「壱岐高校野球部」。

春のセンバツ出場を手にした島っ子ナインの強さのワケに迫ります。

◆島民歓喜! 壱岐っ子ナインの快進撃

「最 強 世 代」。

"壱岐から甲子園" を目指した高校球児21人が夢をかなえた瞬間は、1月24日でした。

一般選考30校と21世紀枠2校を選ぶ選考委員会。

壱岐高校は、21世紀枠候補校となった9校の一つに選ばれていました。

候補9校のうち、出場できるのは2校…。

(日本高校野球連盟 寶 馨 会長)
「選ばれた2校はまず、九州地区の壱岐高校」

待ち望んでいた “吉報” が島に届きました。

(壱岐高校 浦上脩吾 主将(2年))
「自分たちの夢だった、壱岐から甲子園という夢が叶ってとてもうれしい」

選手も、支えてきたマネージャーも、みんなが壱岐島の出身です。

人口約2万4000人の島「壱岐」。

透き通った海と、豊かな緑が広がる自然に恵まれた島です。

うれしい知らせから3週間、商店街の店にも、企業の看板にも、
ナインを祝福する横断幕が掲げられていました。

まさに、島をあげての応援です。

(壱岐島民)
「どこの集まりに行ってもその話が出る。スーパーに行っても募金箱などがある。ぜひ協力したい。とりあえず1勝してほしい」

(壱岐島民)
「もう100年に1度ぐらい。あるかないか。ほんとうれしい。期待している」

去年、秋の県大会で「準優勝」を果たすと、学校として初めて挑んだ九州大会で堂々の「ベスト8」入り。

春のセンバツ出場が有力とされるベスト4には届きませんでしたが、その躍進が評価され『21世紀枠』に選出されました。

困難な練習環境を克服するなどした、特色ある学校に出場の機会が与えられる制度で、離島の高校の選出は、2016年に出場した香川県の小豆島高校以来です。

後輩たちの活躍に野球部のOBは…。


(壱岐高校 野球部OB 松永 晃生さん)
「島の子たちだけで甲子園決めてくれたのは、本当に心から誇らしいと思う。寄付を集めたり、子どもたちが思い切って甲子園で野球ができるように、今 みんなで頑張っている」


(壱岐高校 野球部OB 三富 章太さん)
「仲がいいっていうことは、やっぱりなんでも言い合えるから強くなる。初めての甲子園で緊張すると思うが、思い切って楽しんでもらえたら」

月に一度、チームの指導に訪れている森 康隆コーチは…。


(森 康隆 コーチ)
「自分たちの代になったらやれる。中学時代に勝っているという自信が大きかった。今持っている力を、100に近い形で出せるようにしていくことが役割」

今回の快挙のウラには、中学時代の “ある約束” がありました。

◆離島だから…の困難を、離島だからこその強みへ

(壱岐高校 浦上脩吾 主将(2年))
「中3の時に(島内の学校の)合同練習があり、ボール拾いしてる時に “全員、壱岐高校に行って甲子園に行こう” と、みんな話をした」

郷ノ浦中学校時代、九州大会で優勝した経験のある浦上 脩吾主将はチームの大黒柱。

キャッチャーの岩本 篤弥選手も勝本中学校で県大会を制すなど、この学年はまさに野球の “黄金世代” なのです。

高校に進学する際、島外の強豪校から声のかかる選手もいましたが…。


(壱岐高校 岩本 篤弥 選手(2年))
「みんなが壱岐に残ると聞いて、このメンバーが集まったら甲子園に行けるなという感じ。ちょっとワクワクした」

みんなで島に残り『壱岐から甲子園を目指す』と心に誓い、夢を叶えた壱岐ナイン。

互いの性格やプレーの特徴など、細かい部分を知り尽くしている21人の関係性にこのチームの強さのワケがあると坂本 徹監督は話します。

(坂本 徹 監督)
「壱岐で生まれて、壱岐で育っている仲間。ライバルで戦った子たちが仲間になり、言いたいことを言い合える関係。それが強みになっている」

(壱岐高校 岩本 篤弥 選手(2年))
「チームの中だったら、仲の良さが最大の武器。お互いのことを特徴とか小さい頃から仲が良く、知り尽くしている。仲の良さが壱岐高校の強み」

試合中も幾度となく、家族のような関係性が良い結果を生んでくれました。

(壱岐高校 浦上脩吾 主将(2年))
「試合のピンチの場面で、キャッチャー岩本が面白いことを言ってくれる。緊張もほぐれるし、もう1回スイッチも入る」

(壱岐高校 岩本 篤弥 選手(2年))
「(ピンチで)集まった時は大体、みんな顔がこわばっている。自分がとりあえず和むことをやろうと思い、意識してタイムをかけるようにしている」

甲子園を目指す中で、島ならではの悩みにもぶつかります。

練習試合をしようにも、一度の遠征で30万円ほどの費用がかかる壱岐。

制約の多い練習環境の中、鍛え上げてきたのは「守備」でした。

◆「100年に1度の奇跡」目標は甲子園で校歌を!

島民の期待も背に臨んだ秋の県大会では、準々決勝と準決勝で「甲子園経験校」と対戦し、完封勝利。

5試合を戦ってのチーム防御率は「1.38」で、堅い守りを武器に甲子園に挑みます。

(坂本 徹 監督)
「普段グラウンドでやっている練習を、そのまま試合で発揮することが(甲子園の)目標」


「100年に1度の奇跡」と待ち望んだ島の人たちと
“心を一つに” 挑む 高校球児の夢の舞台「甲子園」。

(壱岐高校 浦上脩吾 主将(2年))
「まずは1勝を目標にチーム一丸となってやる。21世紀枠に選ばれなかった高校の思いを背負って、地域や応援してくれる方々に感謝の気持ちを持って全力プレーで1勝を目標に結果で恩返しができるように頑張る」

島の期待を胸に高校球児の聖地に乗り込みます。


今回の出場に向けては、壱岐市が行ったクラウドファンディングで全国から寄付金が集まったそうで、選手らの遠征費などにあてられるということです。

32校が出場する春の選抜高校野球大会は、3月7日に組み合わせ抽選会が行われ、
18日、兵庫県の阪神甲子園球場で開幕します。

最終更新日:2025年2月28日 14:14