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【読み解く】自治体でも進む「カスタマーハラスメント」対策 さまざまなハラスメントは減っているのに、「カスハラ」だけは増えている? 山陰自治体の対応は

2025年5月10日 6:05
【読み解く】自治体でも進む「カスタマーハラスメント」対策 さまざまなハラスメントは減っているのに、「カスハラ」だけは増えている? 山陰自治体の対応は

気になる話題を取り上げる「読み解く」のコーナー。5月9日のテーマは「進む『カスハラ』対策。

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「カスハラ」は「カスタマーハラスメント」の略。カスタマー、つまり顧客から受けるハラスメントのことでここ数年で、問題が可視化されてきました。

まず、定義としては顧客などからのクレーム・言動のうち、不当・悪質なもので、それによって労働者の就業環境が害されるものとされています。例えば、長時間の拘束、侮辱や暴言土下座の強要といった不当な要求などがあります。ただ、企業や業界によって顧客との関わり方が違うので明確に定義することは難しくなっています。最近では大阪・関西万博でも警備員が土下座をしてカスハラではないかという事案が話題になりましたよね。

「カスハラ」と名前がつくことでここ数年で可視化されたハラスメントかと思いますが、このような現状があります。厚生労働省が行った職場におけるハラスメントに関する調査で「ハラスメントの相談があった」と答えた企業の割合。多い順にパワハラ、セクハラとなっているんですがそれに続いて「顧客等からの著しい迷惑行為」つまりカスハラが入っています。他のハラスメントは「減っている」と回答した企業の方が多いのに対し、カスハラだけは「増えている」のほうが多い。

こうした結果を受けて国や各企業が対策に向けて動いています。たとえば4月1日から東京都・群馬県・北海道で「カスハラ防止条例」が施行。山陰でもカスハラ対策は広がっていて、例えば島根スサノオマジックは2024-25シーズン開幕前にカスハラに対する声明を発表。

また、企業だけでなく自治体も。自治体の方がよりカスハラの問題が深刻な現状があります。総務省が行った調査で「カスハラ被害にあったことがある」と答えた人の割合では、企業に勤めている人が10.8%、地方公共団体職員:35.0%が回答しています。
山陰では鳥取県江府町が先駆けて2023年にマニュアルを作成。鳥取県鳥取市、島根県出雲市では今年度からマニュアルを作成、鳥取県米子市でも今年1月に指針を発表しました。「不当要求対応」のマニュアルは他の自治体にもあるものの「カスハラ」と明記する動きが広がっています。マニュアル作成だけでなく島根県出雲市では今年度から、職員の名札をフルネームから名字だけに変更する対策を取っています。

このように広がる「カスハラ対策」。意見や要望を伝えることは重要ですがその手段が正しいのかどうか、感情的になっていないか、私たちも今一度見直す必要がありそうです。ここまで「読み解く」のコーナーでした。

最終更新日:2025年5月10日 6:05