【注目】長年愛されるご当地パン その地で愛され、さまざまな人の思いによって広がりを見せる 鳥取県・島根県
そんな出雲市を代表するソウルフード・バラパンをこよなく愛し、PRを続ける喫茶店があります。取材班がやってきたのは『ふじひろ珈琲』。店長の伊藤さんは、なんぽうパンからバラパンの生地を直接買い付け、イチゴクリームやたまごペーストなどオリジナルのクリームを乗せて作る『バラパンセット』を提供しています。
雲の名所・日御碕灯台をイメージし、オレンジ色のカボチャクリームを使用した夕日バラパンもここでしか食べられないメニューの一つです。
伊藤さんがバラパンを喫茶店で提供し始めたのには、ある理由がありました。
ふじひろ珈琲 伊藤博人さん
「東日本の震災があって、何か私たちにできないかなと思いがあって、(バラパンメニューの)売り上げの一部を我々の被災地支援活動資金にできないかなと思いましてはじめました」
出雲のバラパンで被災地を元気づけたい。そんな思いから売り上げの一部を被災地支援に充て、伊藤さん自身もバラパンを持って被災地を訪れたといいます。
ふじひろ珈琲 伊藤博人さん
「まだ保育園や幼稚園の方もいらしゃった。その子がパッと(バラパンを)見て、『え、これなに!」』ってものすごく物珍しそうに見ていただいて、食べて『美味しい!』って言っていただいたのが、こっちとしては持ってきてよかったな、食べていただいてよかったなと思いがすごくあって、これは続けていかなければいけないなとすごく思いました」
バラパンを通してつながった常連客30人と共に、片道18時間の距離を運転して東北に向かった伊藤さん。更に、今年1月に発生した能登半島地震の被災者を支援するために何かできないかと、今年3月には喫茶店でチャリティーコンサートを開催しました。入場料を無料にし、バラパンセットの売り上げとお客さんからの募金の全額を日本赤十字社に送りました。
長年にわたり被災地支援を続ける伊藤さんには、ある願いがー。
ふじひろ珈琲 伊藤博人さん
「やっぱり持っていくことによって、自分たちが元気になったら出雲に寄ってバラパンでも食べてみようかなと思ってほしい。出来るだけ、これからも続けていこうかなと」
昔から愛されるご当地パン。香ばしい香りの向こうにはさまざまな笑顔がありました。ご当地パンを食べて育った人々によって、その輪は広がり続けています。