【特集】子どもは11人、孫は31人。11人を育てたスーパーお母さんの第3の人生に挑戦する思いを取材 鳥取県大山町
鳥取県大山町に2023年オープンしたカフェがあります。オーナーは、なんと11人の子供を育てたスーパーお母さん。第3の人生に挑戦する思いを取材しました。
春も終わり、初夏を間近に控えた鳥取県の大山。森の中にたたずむカフェ「お手隙の時に」。営業は主に週末ですが、予約があれば平日も開店。ハンバーグをメインとした野菜たっぷりの定食を自然に囲まれながら味わうことができます。
客
「全部手作りなんで、こんなステキなところで頂くことができてちょっとほんとにリッチな感じです」
店を切り盛りするのは木村由利子さん(69歳)。2023年の夏にこの店を開きました。
慣れた手つきで作るのは定食のメイン「ハンバーグ」。木村さん流の味付けがー。
Q. それは隠し味?
木村由利子さん
「隠し味です。しょうゆです。なぜかうちはずっと前からしょうゆ。我が家の味で」
しょうゆ入りのハンバーグ。木村さんと家族の「きずな」を深めた思い出のメニューです。かつては家庭で、1度に30個を作っていたと言います。そのワケがー。
木村由利子さん
「一人産むごとにだんだん(身体が)丈夫になってきたというよりも、寝込んでいられなくなって大きなお腹をしながら新聞を配ったり滑ってこけたり」
実は木村さん、なんと子どもの数が11人。11人を育てたスーパーお母さんなのです。
福井県出身の木村さんは大阪での仕事を経て20歳で結婚。夫の出身地である、鳥取市鹿野町に移住し、第二の人生が始まりました。23歳で第1子が、その2年後には、第2子が誕生。以降2年おきに出産し、33歳のころには、8人目の子どもを授かりました。当時の年賀状は、子ども全員の名前が書ききれず「その他8人」と省略するほど。
木村由利子さん
「自分の中で雷落としてるくらい早くこれをしろ、何をしたらダメとかそんな感じで子どもの分だけ謝りに行くことも多いですし、まったく余裕がなかったですね」
そして41歳で第11子が生まれ、6男、5女11人きょうだいの母に。新聞配達などの早朝仕事で子育てを続けてきました。現在は全員が独立し、それぞれが親に。孫は総勢31人にも上ります。
そんな中、大黒柱として家族を支えてきた元鳥取県議会議員の夫、和久さんは、8年前に病気で他界。子育ても一区切りした2年前、鳥取市鹿野町を離れ大山町で第3の人生を歩み始めたのです。
木村由利子さん
「やっとこの年になって自立するこどもに世話になればいいような感じなんですけども、一人でがんばってできるところまでやってみようかな」
この日、5人の子どもたちが孫を連れて木村さんの店へ。
子どもたち
「いただきます」
お昼ごはんは、おなじみのしょうゆ入りハンバーグ。環境は変わっても家族と過ごした料理の味は、思い出に刻まれ、次の世代にもその思い出が引き継がれました。
第6子 龍馬さん
「久々に食べたけどやっぱりおいしいです」
第11子 龍雲さん
「懐かしいなと。すごい家で出てたご飯なんでみなさんに食べていただいて。木村家の味を」
「地元を離れて大山でお店を開くってすごいかなりガッツがある。お母さんらしいというか応援してます」
それぞれが家庭を持った今、会う機会も徐々に減ってしまいましたが、子どもたちの元気な姿が木村さんの原動力となっています。
木村由利子さん
「一応みんなが元気で育ってくれたのがなにより。親として頑張ってほしいな。できる限りは自分らでやってほしい」
今年で70歳を迎える木村さん、人生これからが折り返しのようです。
木村由利子さん
「とにかく元気でがんばって150まで生きる予定なのでまだ半分ちょっとくらいギネスにのらないといけない。子供の数は(ギネス記録は)ダメだったので長生きしかできないなと思って」