木質バイオマスからナイロンの原料「アジピン酸」の合成に成功 島根大学が新技術を開発 石油に依存しないプラスティックの生産につながる可能性も 島根県松江市

島根大学は9日、木質バイオマスの「リグニン」から環境負荷の少ない方法で、ナイロンの原料として用いられる「アジピン酸」を合成する新技術を開発したと発表しました。
この新技術を開発したのは島根大学大学院自然科学研究科物質科学コースの飯田拡基教授を中心とした研究グループです。
島根大学の発表によりますと飯田教授らの研究グループは環境負荷の低い有機触媒「フラビン触媒」を用いた環境負荷の低い酸化反応の開発を進めてきました。
最近では「フラビン触媒」に電気エネルギーを組み合わせることで空気と水を試薬として活用する手法を報告していました。
この手法を活用し、「リグニン」由来の化合物であるメトキシシクロヘキサノンを原料に、空気と水を試薬として用いることで環境負荷を極力減らしながら「アジピン酸」を合成することに成功しました。
ナイロンの原料となる「アジピン酸」は世界で年間約300万トンが石油から製造されているということです。
今回、開発された手法により石油に依存しないプラスティックの生産につながる可能性があるということです。
今回の研究成果は6月4日にイギリスの科学誌「Green Chemistry」誌でオンライン公開されています。