普及進まぬ精神障害者のスポーツ ストレスや困難から“守る”だけで良いのか? “当たり前に”スポーツ楽しめる環境を… 「ソーシャルフットボール」日本代表の男性の思い 鳥取県
ソーシャルフットボール 日本代表 浦田凌吾さん
「(精神障害者)スポーツができた年月もほかの障害スポーツに比べてまだまだ短いものなので、こうした大会を通して徐々に知名度というよりは、当事者たちがそういう場所があると思ってもらえるように頑張りたいと思っていました」
近年、身体障害者向けのスポーツは広がりを見せていますが、精神障害者のスポーツはあまり知られておらず、競技人口もまだまだ少ないといいます。ソーシャルフットボールも一時は全国にチームがありましたが、コロナ禍で練習や大会出場の機会が減り、解散するチームもー。かつて鳥取県にあったというチームも、いまはありません。
代表の練習以外は、個人でのトレーニングやほかの障害者スポーツの練習に加わるといった活動が中心です。
ソーシャルフットボール 日本代表 浦田凌吾さん
「やっぱり地元である程度、集まって練習できたり、チームができたりしたらベストかなって。こういった競技が広まっていくのっていうのは、個人的にうれしいことなので、やっぱり地元でやりたいっていう気持ちは強いです」
日本の社会はこれまで、精神障害のある人に対し「無理をさせない」「ストレスをできるだけ小さくする」など、課題や困難から“守る”傾向が強く、スポーツへの参加も同じ文脈で否定的な見方がされていました。身体障害と異なり、個人の特性が目に見えづらいという事情もありました。こうした中、「日本ソーシャルフットボール協会」は、精神障害のある人にも自然にスポーツに向き合ってほしいと、ソーシャルフットボールの普及に取り組んでいます。
ソーシャルフットボール日本代表 浦田凌吾さん
「勝手な思いかもしれないけど、楽しもうっていう目的のチームがあって、もう一方に大会で競技したいって人が集まる。2つの居場所があるのが、すごく良いかなと思っています。代表のユニフォームを着るじゃないですか。そしたら見てくれた人が、障害があってもそういう夢を追えるんだとか、あの服着れるんだって思ってもらえたらすごく光栄です」
代表チーム、そして初めて出場したアジア大会で、さまざまな障害特性のある人たちと交流した浦田さん。
ソーシャルフットボール日本代表 浦田凌吾さん
「(スポーツが)治療の一環というのを聞いて、すごく共感した面があったので、まずは人数だったり、当事者が救われる場所があるのを多くの人に知ってほしいと思っています」
浦田さんは、精神障害のある人も一人一人が望む形で“当たり前に”スポーツに参加できる環境を作っていきたいと目標を語ります。