【特集】「人口減少が起きているこの時代ですから…」新コミュニティ拠点へ 油川駅が郵便局と一体化 イタリア館がモチーフ
駅に郵便局が入る県内初のプロジェクトが青森市油川で進められています。窓口業務を一体化することで地域コミュニティの拠点として注目されます。
★青森放送 菅原厚
「あちらにみえますのが現在工事が始まっている油川駅です 駅前通りをまっすぐ行って左折したところにあるのが油川郵便局 来年春、県内で初めて駅に郵便局が入り一体化されます」
青森市の西側、羽白沢田にある津軽線の油川駅では今月12日から改修工事が始まっています。その油川駅からは百数十メートルほど離れた場所に位置するのが油川郵便局です。1971年の完成から半世紀以上が経過し老朽化が進んでいます。
ことし2月、日本郵便とJR東日本は、社会問題の解決に向けて「郵便局と駅の地域コミュニティ拠点化」「持続可能な物流の実現」「共創型まちづくり」などで連携を強化していく協定を結びました。
そして7月、油川駅舎内に郵便局を移転することを発表。駅に郵便局が入る窓口業務の一体化は県内初、東北でも仙台市の作並駅に次いで2番目の取り組みです。
油川駅の清掃や花壇の整備などをボランティアで行っている油川駅応援実行委員会の委員長・柿崎孝治さんに現在の駅を案内してもらいました。
油川駅は1951年津軽線の青森・蟹田間開業に合わせて使用を開始しました。木造平屋建ての駅舎は1918年にイタリア人が油川地区に建てたイタリア館がモチーフになっています。
駅のホームは前方と後方に柵が設けられています。以前は長いホームで利用され駅舎にはキオスクもあり大勢の人が利用していたといいます。
★油川駅応援実行委員会 柿崎孝治さん
「当時は昭和50年代後半でも8両とかで朝の通学通勤電車は満員でした」
現在の駅舎は7年前にリニューアルされたものですが…
★柿崎孝治さん
「こちらもふたされていますが窓口が2つありまして駅員さんがいて切符とか定期券とか販売されていた」
去年3月、駅の窓口が閉鎖され無人駅となりました。今回の一体化で駅の無人化は解消されることになります。
★柿崎孝治さん
「人口減少が起きているこの時代ですから郵便局が来るということは駅の周辺にもにぎやかさが出るので すごく良い案だなと思いました」
油川地域はかねてから環境美化活動に取り組むなど地域コミュニティを大切にしてきた歴史があります。
青森北高校の生徒会では毎週水曜日と金曜日の放課後、駅舎内のトイレ掃除を行っています。油川駅を地域のにぎわい回復につなげようという柿崎さんたち実行委員会の思いが地元の学校にも波及しているのです。
★青森北高生は
「いろんな人たちが利用する中で もともときれいだったりするので周りのみなさんのおかげもあって油川駅が成り立っている」
「もっと利用者が増えると思うので きれいだな、油川に来てよかったなと思えるような駅になってほしいです」
油川中学校でも生徒たちが駅周辺のゴミ拾い活動を行っています。
★油川中学校 佐藤研校長
「子どもたちが高校に進学するときの通学の拠点として欠かせないところ 駅周辺の環境をこどもたちが知れたということ思ったよりもゴミが少なくみんなが大事に使っているんだなと感じとってくれた」
地域が大切にしてきた駅が生まれ変わることを住民は歓迎しています。
★郵便局を利用する住民は
「駐車場が使いやすかったら駅と一緒でもよいかな」
「駅を利用するときに郵便局も利用したり郵便局を利用するときに駅を利用したり便利さが増すと思います」
一体化は油川地区にとって地域コミュニティの拠点としても期待されています。
★油川市民センター 成田克仁館長
「これをきっかけに油川駅に多くの人がまた訪れて見学だけでもよいですし どんどん足を運んでいただいて街の活性化につなげていけたら」
来年春、開業予定の新しい「油川駅」。駅と郵便局の一体運営は今後、県内に74ある無人駅を中心に広がりをみせそうです。