南海トラフ地震の新たな被害想定 高知県はどう受け止めたのか【高知】
3月31日、国は約10年ぶりに南海トラフ地震の新たな被害想定を公表しました。
今回の想定を高知県はどう受け止めたのか。県の南海トラフ地震対策課に話を聞きました。
31日、国の中央防災会議は南海トラフ地震の防災基本計画の策定から10年が経過したため、これまでの防災対策や地形データの更新などを反映し新たな被害想定を公表。
全国の死者は最悪の場合で約29万8000人とこれまでの対策の効果を受けて、前回2012年の想定より約3万4000人減少しています。
高知県での被害想定は死者が最大で4万6000人と3000人減少し、全壊・焼失する建物は23万8000棟と1000棟減少。一方で負傷者は9万9000人と2倍以上になっています。
今回の被害想定を県はどう受け止めているのか。南海トラフ地震対策課の伊藤孝課長に聞きました。
●南海トラフ地震対策課・伊藤課長
「数字だけ見るとあまり減っていないようには受け止めた。これまで堤防・避難路・津波避難タワーの整備とか、その対策がどれだけ反映されているのかというところをもう少し国のマクロ的な想定ではなくて、県の詳細な被害想定をしていくなかで、どれだけ効果が反映できるのか詳細を検討していかないといけない」
そもそも国の被害想定は県が独自に出す被害想定とは出し方に違いがあることも考慮する必要があります。
●伊藤課長
「国としての防災対応というところで全国に示す目的もあるし、国が対応する際の基準とするもの。高知県の場合はさらに詳細なデータを用いて県としての防災対策を精度良く対応していくために高知県独自に算出している」
しかし今回の国の被害想定では一部で前提条件の変更があり今後、県の対策にも影響する可能性が高いといいます。
●伊藤課長
「例えば避難速度とかが変わってきている。そういった計算手法を高知県版に反映していく作業になってくる。これまで避難できている想定のところが避難できないようなことが今後高知県版の被害想定を算出したときに、新たな避難空間の整備が必要になる可能性が出てくる可能性が非常に高い」
計算式にあてはめる避難速度はこれまで一律で時速2.65キロでしたが、今回は要支援者が平地で1.89キロ坂道で1.2キロと30%から50%遅い設定になり、今後県の津波避難タワーの整備計画などに影響する可能性があります。
さらに気になるのが負傷者数の大幅な増加です。
●伊藤課長
「負傷者数が増えている。国の算定方法が変わってきた。これまでの負傷者数の2倍に増えている状況を踏まえると、医療系の対応の強化が必要と考えている」
また今回の国の想定死者数は早期避難意識が20%の場合に高知県で最大4万6000人としていますが、実際には高知県の最新の早期避難意識は69.7%となっています。
●伊藤課長
「早期避難意識というのが一番厳しいところで、20%最大で70%。高知県にとってはいま現在、早期避難意識率が70%台で推移。どちらかというと国のデータのより対策が取られているデータを見てもらうほうがより現実的」
しかし伊藤課長は早期避難意識が伸び悩んでいるのが今後の課題だと話します。
●伊藤課長
「すぐに逃げるという、早期避難するという(意識率が)伸び悩んでいる。100%を目指して第5期行動計画で取り組んできたが、そこがやっぱり70%台からなかなか上がらない。(津波早期避難意識率が)100%になることで、限りなく死者数が0に近づいてくる。そこは大きな課題であるし、県民のみなさんに一番取り組んでもらいたいところ」
新たに示された国の被害想定。しかし南海トラフ地震の被害を軽減するために必要なのは、わたしたち自身の命を守る意識であることに変わりはありません。
今回の想定を高知県はどう受け止めたのか。県の南海トラフ地震対策課に話を聞きました。
31日、国の中央防災会議は南海トラフ地震の防災基本計画の策定から10年が経過したため、これまでの防災対策や地形データの更新などを反映し新たな被害想定を公表。
全国の死者は最悪の場合で約29万8000人とこれまでの対策の効果を受けて、前回2012年の想定より約3万4000人減少しています。
高知県での被害想定は死者が最大で4万6000人と3000人減少し、全壊・焼失する建物は23万8000棟と1000棟減少。一方で負傷者は9万9000人と2倍以上になっています。
今回の被害想定を県はどう受け止めているのか。南海トラフ地震対策課の伊藤孝課長に聞きました。
●南海トラフ地震対策課・伊藤課長
「数字だけ見るとあまり減っていないようには受け止めた。これまで堤防・避難路・津波避難タワーの整備とか、その対策がどれだけ反映されているのかというところをもう少し国のマクロ的な想定ではなくて、県の詳細な被害想定をしていくなかで、どれだけ効果が反映できるのか詳細を検討していかないといけない」
そもそも国の被害想定は県が独自に出す被害想定とは出し方に違いがあることも考慮する必要があります。
●伊藤課長
「国としての防災対応というところで全国に示す目的もあるし、国が対応する際の基準とするもの。高知県の場合はさらに詳細なデータを用いて県としての防災対策を精度良く対応していくために高知県独自に算出している」
しかし今回の国の被害想定では一部で前提条件の変更があり今後、県の対策にも影響する可能性が高いといいます。
●伊藤課長
「例えば避難速度とかが変わってきている。そういった計算手法を高知県版に反映していく作業になってくる。これまで避難できている想定のところが避難できないようなことが今後高知県版の被害想定を算出したときに、新たな避難空間の整備が必要になる可能性が出てくる可能性が非常に高い」
計算式にあてはめる避難速度はこれまで一律で時速2.65キロでしたが、今回は要支援者が平地で1.89キロ坂道で1.2キロと30%から50%遅い設定になり、今後県の津波避難タワーの整備計画などに影響する可能性があります。
さらに気になるのが負傷者数の大幅な増加です。
●伊藤課長
「負傷者数が増えている。国の算定方法が変わってきた。これまでの負傷者数の2倍に増えている状況を踏まえると、医療系の対応の強化が必要と考えている」
また今回の国の想定死者数は早期避難意識が20%の場合に高知県で最大4万6000人としていますが、実際には高知県の最新の早期避難意識は69.7%となっています。
●伊藤課長
「早期避難意識というのが一番厳しいところで、20%最大で70%。高知県にとってはいま現在、早期避難意識率が70%台で推移。どちらかというと国のデータのより対策が取られているデータを見てもらうほうがより現実的」
しかし伊藤課長は早期避難意識が伸び悩んでいるのが今後の課題だと話します。
●伊藤課長
「すぐに逃げるという、早期避難するという(意識率が)伸び悩んでいる。100%を目指して第5期行動計画で取り組んできたが、そこがやっぱり70%台からなかなか上がらない。(津波早期避難意識率が)100%になることで、限りなく死者数が0に近づいてくる。そこは大きな課題であるし、県民のみなさんに一番取り組んでもらいたいところ」
新たに示された国の被害想定。しかし南海トラフ地震の被害を軽減するために必要なのは、わたしたち自身の命を守る意識であることに変わりはありません。
最終更新日:2025年4月1日 18:51