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世界初で火星の地下氷の場所を特定 高知大学長谷川教授チームに聞く【高知】

2025年4月30日 18:53
世界初で火星の地下氷の場所を特定 高知大学長谷川教授チームに聞く【高知】
高知大学の研究者が、世界で初めて火星の地下にある氷=地下氷の場所を特定しました。この地下氷の特定は将来行われる火星の有人探査に非常に重要な情報だと高く評価されています。

世界で初めて、火星の地下に眠る豊富な氷地下氷の場所を特定したのは高知大学理工学部地球環境防災学科 長谷川精准教授のチームです。

火星は地球と同じように岩石でできた星で、40億年ほど前には海があったとみられていますが、地球よりも太陽から遠い場所にあるため、現在は平均気温がマイナス40度を下回る極寒の地で地表に水はありません。NASAは、これまでに複数回火星に無人探査機を送り、地層の成分などを調べていて、2040年以降は有人探査が計画されていますが今回の発見はその際の貴重な情報となります。

■長谷川准教授
「水の資源ってすごい大事で、水があれば当然飲み水にもなるし、H2Oなので電気分解すると酸素と水素に分かれる。酸素はもちろん呼吸に利用できるし、水素は車両を動かすときの水素電池として使えるので重要です」

長谷川准教授のチームはどうやって地下氷の場所を特定したのか。ヒントは地球にありました。

■長谷川准教授
「火星のどこに氷があるか調べようとした時に重要になるなと思ったのが地球にも地下に氷がある所がいろんなところにある。冬に氷が形成されて膨張する、夏はそれが一部溶けて収縮する。膨収縮を繰り返すことで、地面表面が割れ目ができるような地形ができる」

長谷川准教授のチームはモンゴルなど地下に永久凍土があるエリアを調査し地下に眠る氷を確認しました。その上で火星を周回するNASAの探査機の衛星画像4789枚を分析して火星の地下氷が豊富な場所の特定に成功しました。さらに、この地下氷の研究は私たちにとっても身近なある問題と関係がありました。

■長谷川准教授
「いま温暖化で永久凍土がとけていってるのが地球上で問題視されている。シベリア地域とかでは永久凍土の上に建てていた家が傾いたりとか。もっと大きな問題は、永久凍土の中にはメタンガスが大量に含まれていて、永久凍土が溶けるとメタンが大気中に出てメタンガスは二酸化炭素の20倍の温室効果持っているのでもっと温暖化が進んでしまう」

つまり、今後、地球の永久凍土がどう溶けているのかを観察していく上でも、地下氷を含む地形分布を調べる研究は重要だというわけです。高知からはるか離れた火星の研究を進める高知大の長谷川准教授。現在は生命体が存在できる環境である、高濃度の塩水の場所を探す研究を進めていてこの研究は、地球外の生命体発見につながる可能性を秘めているということです。
最終更新日:2025年4月30日 18:53