米軍機の高知龍馬空港への緊急着陸から1か月 長期化する駐留期間について専門家に聞く【高知】
アメリカ軍の最新鋭ステルス戦闘機が高知龍馬空港に緊急着陸してから4月25日で1か月を迎えます。
情報の発表がないまま国内の民間空港に戦闘機が長く滞在する異例の状況となった背景を専門家に聞きました。
高知龍馬空港に滞在しているアメリカ海兵隊のF35Bステルス戦闘機。
山口県の岩国基地に配備されている機体で、3月25日に緊急着陸したまま、いまも留まった状態です。約1か月にわたり民間空港に戦闘機が滞在する異例の光景。周辺には、物珍しさからカメラを手に訪れる人も―。
■見物客
「もうそろそろ飛ぶかなと思って来た。(米軍から)何も僕らにはそういう情報ないでしょ。まったく分からない」
アメリカ軍は、今回の着陸を墜落などのおそれよりも危険性が低い「予防着陸」と説明していますが、不具合の内容や今後の見通しを一切説明していません。
中国四国防衛局によりますと、直近3年間で米軍機が予防着陸で国内の民間空港に留まった日数は、最も長いのが「24日間」で、今回の駐留期間はそれを大幅に上回る「国内最長」となります。
4月24日、空港内の高知放送の情報カメラが撮影した映像には尾翼の方向舵や昇降舵を動かしたりエンジンの噴射口から炎が出る様子が見られました。中国四国防衛局によりますと現地に派遣している職員から「エンジンテストが実施された」との連絡があった一方、アメリカ軍側から詳しい説明は受けていないということです。
■林記者
「今も留まっている戦闘機。飛び立つ気配はありません。県民の疑問や不安は日に日に増していくばかりです」
異例の状況が続く背景に何があるのか。航空自衛隊の元・空将で麗澤大学特別教授の織田邦男さんは、最新鋭の戦闘機ならではの要因を指摘します。
■麗澤大学 織田邦男 特別教授
「F35Bステルス機というのは、コンピュータが飛んでるようなものだから、故障探求、トラブルシューティングが非常に難しい。点検機材がない所に予防着陸してしまった場合、どこが故障の原因なのかというのを探求するのに手間がかかるというのはある。まだ、F35Bが(岩国に)入って来て何年も経っているわけではないので、なかなかトラブルシューティング、あるいは整備というものが手探りの状態でやっているという風に思う。困っているんでしょうね、多分。海兵隊の方も」
また、アメリカ軍からの情報発表がないことについて海兵隊と防衛省・自衛隊の連携不足を指摘します。
■織田邦男 特別教授
「海兵隊というのは、日本式に住民説明をやるという、いわゆるカルチャー(習慣)がない。だから、アメリカ本土で同じようなことが起こったら、同じように対応する。でも日本は事情が違うんだよというのを(防衛省・自衛隊が)教えてやらないといけない。これだけ1か月近く、長期駐留するのは、稀な事で、こういう事もあるよということで、やっぱりマニュアルを作っておく必要があると思う」
県内では1994年に訓練中の米軍機が早明浦ダムの湖に墜落する事故が発生。その後も、1999年に土佐湾、2016年に土佐清水沖、2018年に室戸沖で墜落事故が発生しています。
織田さんは、最新鋭の戦闘機による民間空港への「予防着陸」が今後も起こる可能性があると指摘します。
■織田邦男特別教授
「まったく新しい戦闘機だから、予想外の事が起こるかもしれないし、母基地に帰るだけの故障探求でないとなると、やっぱり同じことが起こると思う。無理して、飛んで途中で墜落したら、そっちの方が責任持てない。日米同盟というものがあって、(米軍機が)日本の防衛に貢献してる事は確かなんですから、(県民が)本当に不安を感じるという事であれば、それはやっぱり防衛省も取り上げて、アメリカと交渉しなくてはいけない。“ここは飛ぶと非常に、住民の人は、非常にセンシティブに思ってますよと、だから経路を変えてください、飛ぶ所を変えてください”と、そういうやり取りは必要だと思う」
民間空港におけるアメリカ軍戦闘機の長期滞在。県民の疑問や不安が募るなか、日米間の情報共有における課題も浮き彫りになっています。
情報の発表がないまま国内の民間空港に戦闘機が長く滞在する異例の状況となった背景を専門家に聞きました。
高知龍馬空港に滞在しているアメリカ海兵隊のF35Bステルス戦闘機。
山口県の岩国基地に配備されている機体で、3月25日に緊急着陸したまま、いまも留まった状態です。約1か月にわたり民間空港に戦闘機が滞在する異例の光景。周辺には、物珍しさからカメラを手に訪れる人も―。
■見物客
「もうそろそろ飛ぶかなと思って来た。(米軍から)何も僕らにはそういう情報ないでしょ。まったく分からない」
アメリカ軍は、今回の着陸を墜落などのおそれよりも危険性が低い「予防着陸」と説明していますが、不具合の内容や今後の見通しを一切説明していません。
中国四国防衛局によりますと、直近3年間で米軍機が予防着陸で国内の民間空港に留まった日数は、最も長いのが「24日間」で、今回の駐留期間はそれを大幅に上回る「国内最長」となります。
4月24日、空港内の高知放送の情報カメラが撮影した映像には尾翼の方向舵や昇降舵を動かしたりエンジンの噴射口から炎が出る様子が見られました。中国四国防衛局によりますと現地に派遣している職員から「エンジンテストが実施された」との連絡があった一方、アメリカ軍側から詳しい説明は受けていないということです。
■林記者
「今も留まっている戦闘機。飛び立つ気配はありません。県民の疑問や不安は日に日に増していくばかりです」
異例の状況が続く背景に何があるのか。航空自衛隊の元・空将で麗澤大学特別教授の織田邦男さんは、最新鋭の戦闘機ならではの要因を指摘します。
■麗澤大学 織田邦男 特別教授
「F35Bステルス機というのは、コンピュータが飛んでるようなものだから、故障探求、トラブルシューティングが非常に難しい。点検機材がない所に予防着陸してしまった場合、どこが故障の原因なのかというのを探求するのに手間がかかるというのはある。まだ、F35Bが(岩国に)入って来て何年も経っているわけではないので、なかなかトラブルシューティング、あるいは整備というものが手探りの状態でやっているという風に思う。困っているんでしょうね、多分。海兵隊の方も」
また、アメリカ軍からの情報発表がないことについて海兵隊と防衛省・自衛隊の連携不足を指摘します。
■織田邦男 特別教授
「海兵隊というのは、日本式に住民説明をやるという、いわゆるカルチャー(習慣)がない。だから、アメリカ本土で同じようなことが起こったら、同じように対応する。でも日本は事情が違うんだよというのを(防衛省・自衛隊が)教えてやらないといけない。これだけ1か月近く、長期駐留するのは、稀な事で、こういう事もあるよということで、やっぱりマニュアルを作っておく必要があると思う」
県内では1994年に訓練中の米軍機が早明浦ダムの湖に墜落する事故が発生。その後も、1999年に土佐湾、2016年に土佐清水沖、2018年に室戸沖で墜落事故が発生しています。
織田さんは、最新鋭の戦闘機による民間空港への「予防着陸」が今後も起こる可能性があると指摘します。
■織田邦男特別教授
「まったく新しい戦闘機だから、予想外の事が起こるかもしれないし、母基地に帰るだけの故障探求でないとなると、やっぱり同じことが起こると思う。無理して、飛んで途中で墜落したら、そっちの方が責任持てない。日米同盟というものがあって、(米軍機が)日本の防衛に貢献してる事は確かなんですから、(県民が)本当に不安を感じるという事であれば、それはやっぱり防衛省も取り上げて、アメリカと交渉しなくてはいけない。“ここは飛ぶと非常に、住民の人は、非常にセンシティブに思ってますよと、だから経路を変えてください、飛ぶ所を変えてください”と、そういうやり取りは必要だと思う」
民間空港におけるアメリカ軍戦闘機の長期滞在。県民の疑問や不安が募るなか、日米間の情報共有における課題も浮き彫りになっています。
最終更新日:2025年4月24日 18:38