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シリーズ『起業のミカタ!ー親とみる高知の起業ー』④ 高知県内で広がる起業家の輪

2024年9月23日 18:55
シリーズ『起業のミカタ!ー親とみる高知の起業ー』④ 高知県内で広がる起業家の輪
9月にこうちeyeでシリーズで放送している「起業のミカタ!ー親とみる高知の起業ー」。

最終回は高知県内で広がる起業家の輪についてお伝えします。

多くの起業家は新しい事業を始めると自分のことで精一杯になり孤独になりがちだと言われます。そんな中、起業家同士が助け合い、高め合える組織が県内に誕生してきています。

そんな団体の1つが、高知市の中心商店街に拠点を置く「KSB(高知スタートアップベース)」です。
「自分のやりたいことが社会に価値をつくる」をコンセプトに設立された民間団体で、起業を志す人に一歩を踏み出すきっかけとなればと起業家支援のプロジェクトなどを開催しています。

もう一つの団体はKOIB(高知イノベーションベース)。
こちらは、地元で次の世代の起業家を生み育てようと、高知にゆかりのあるプロの起業家たちが集まり、2年前に結成。

3年間で県内に年商1億円企業を10社つくることを目標に掲げ、著名な起業家の講演や相談イベントなどを定期的に行っています。
会員は若い世代を中心に120人と、どんどん増えてきています。

■KOIB 中西委員長
「誰もが起業を目指せる高知へ。それから起業家、次世代を担うリーダーが切磋琢磨できる高知へ、ということを我々の大きな目標としている。(会員が)経験をシェアすることで自分の成長と会社の成長を実現することが一番大きな意義」

KSBとKOIBの両方に参加しながら高知で起業を目指している学生がいます。
愛知県出身で高知大学2年の小池 乙歌(おとか)さんです。

■小池 乙歌さん
「乙歌という名前は父親が坂本龍馬に憧れて、坂本龍馬が唯一逆らえなかったのが乙女ねえやんだから、乙を取って、はちきんに育てというので乙歌になった」

小池さんは祖母と一緒に祖父の介護を体験、福祉の仕事に興味を持ちました。

福祉に関わる起業を夢見て今年3月、鹿児島県・奄美大島にある施設でのインターンシップに参加。経営手法や事業計画の進め方など実践面を多く学びました。

その後、小池さんはKOIBに参加。運営に携わりながら起業に向けたノウハウを学んでいます。

起業に向けて突き進む娘を県外に住む父親の剛司さんはどうみているのでしょうか。

■乙歌さん父・小林 剛司さん
「嬉しく思っている。起業にだけでなく、この貴重な大学4年間を単なる勉強だけで終わるのでなく、興味を持ったことに取り組むことが有意義。そういう意味で嬉しく思う」

小池さんが参加するKOIBは毎月1回、「月例会」を開催しています。

月例会は毎回、活躍中の起業家を講演に呼び、その講演の中から、多くの学びや気づきを得ています。
他県でも同じような活動が行われていますが、KOIBでは特に学生を含めた若い世代の人の参加が多いといいます。

講演後は、自分の感じたことなどを参加者と共有します。世代や立場を超えて色々な起業家の考え、思いを知ることができる場になっています。

■小池 乙歌さん
「環境が自分を変えてくれたと思うと仰っていたので、自ら環境を作り出していくこともいいかなと思って、夏休みに1週間くらい(自分の)強化週間をやってみても面白いかなと思った」

起業を目指す小池さんはKOIB內に学生だけで組織する「学生部会」を立ち上げました。
現在、4人の学生が活動中。

同じ世代でつながることで深い悩みなどを共有でき、何より、若い世代同士で起業に挑戦することは自分1人じゃないという仲間意識が生まれるといいます。

■小池 乙歌さん
「人生の大きな岐路になった時の葛藤や(学業と)自分のやりたいことを両立させていくことの苦しさをわかり合えるし、大人よりも身近に感じられる。」

起業を志す若者の輪はさらに広がろうとしています。

この夏、東京で暮らす高知県出身の学生と、高知にゆかりのある起業家たち約50人が集まり、将来の起業について語りあう交流イベントが初めて開かれました。

学生からは次々と質問が飛び出し会場は熱気に包まれました。

高知から参加した小池さん。
起業を目指す若者たちの存在に1人じゃないという思いをさらに深めていました。

■小池 乙歌さん
「こういう場をひとつ設けるだけで高知にこんな活動をしている人たちがいるとか、こんな場がある、とか知ってもらえることで、高知に戻ってくるきっかけに活力になると考えている。そういうつながりができることは嬉しい」

娘の起業活動を詳しく聞き、父親の剛司さんはあらためて娘を応援していくつもりです。

■父親・小林 剛司さん
「起業すること自体が会社の成り立ちや何が重要なポイントなのかを理解するうえでいい経験になる。何か困った時は相談なり金銭的な融資なりできることはやれることはやってあげたい」

■小林 乙歌さん
「喜んでくれるのでお父さんを10倍超えるレベルで生きていきたい」

起業家を目指す人たちを支援する高知県の職員は、
■高知県 市原さん
「県としては起業に向けた様々な支援を準備しています。今、起業は決して怖いものでなく人生の選択肢の1つとして十分考えられるものとなっている。高知の将来を担う人材が一人でも増えていくことを願っていますし応援したい」

自分のやりたいことを実現し、地域の活性化にも貢献していく起業。あなたもワクワクする起業という扉を開けてみませんか?