『人や社会とつながれるように』メタバース空間でひきこもりを支援する男性に密着【高知】
高知県内に自らのひきこもり体験をもとにひきこもりの人たちを支援する男性がいます。
男性は人と会うことが難しいひきこもりの人たちがインターネット上の仮想空間で交流する新たな取り組みに挑戦しています。
全国で推計146万人といわれるひきこもりの人たち。
高知県内では、5年前に行なわれた実態調査で692人いることが報告されています。
そんな人たちがパソコンを通じて人や社会とつながれるよう活動を続ける男性がいます。
高知市の遠藤泰さん(50)です。
遠藤さんがいま取り組もうとしているのがメタバース(インターネット上の仮想空間)の活用です。
人と会うことが難しい当事者同士が仮想空間上で自分の分身を通して交流することができます。
わたしたちが遠藤さんと出会ったのはいまから4年前。
高知市のNPO法人「県生涯学習支援センター」が運営する「しばてん大学デジタル部」です。
ひきこもりの人や障害のある人の自立を目指して2021年5月に設立されたもので、遠藤さんは開設当初から講師を務めています。
教室は週5回開かれ、利用者は社会参加に向けパソコンの基本的な使い方から学びます。
実は、遠藤さん自身もひきこもり生活を送った経験があります。
青森県出身の遠藤さん。2011年から3年間高知県本山町で地域おこし協力隊として活動していました。
その後、高知県南国市でトマト栽培を始めましたが、2016年に台風でハウスが全壊。「失敗した」といううしろめたさにとらわれ、41歳のとき、家にひきこもるようなりました。
昼夜が逆転した生活を3年間続けたころ、外に出てみようかという思いが少しずつつのり、ひきこもり生活から抜け出しました。
■遠藤泰さん
「働くというとなかなか強制的にとか制約があったりストレスがあったりと考えてしまう人もいると思うが、実際は社会の中に居場所をつくるという 充実感や満足感、必要とされているという気持ちはモチベーションにつながっていくそういった体験や経験を1人でも多くの障害をもたれている方や孤立しがちな人にもってもらえればそういった活動をしていきたい」
インターネット上の仮想空間を活用しひきこもり支援に取り組む遠藤さん。その遠藤さんと仮想空間上でつながっている男性がいます。高知市の垣内智裕さん(27)です。
2人は対面しなくても仮想空間上で交流することができます。
2024年4月からデジタル部に通う垣内さん。
中学生の頃学校になじめなくなり、高校1年生になったある日、家から出られなくなりました。
その後、大学に通い始めましたがひきこもり生活を繰り返してきました。
3年前に一家で千葉から移住しデジタル部の存在を知った垣内さん。
遠藤さんが驚くほどの才能を発揮しAIを活用したシステムづくりを行えるようになりました。
それが学習ポイントシステムです。
ゲーム感覚でワードやエクセルなどのパソコンスキルやChatGPTなどのAI技術について学ぶことができます。
利用者はクイズを解き、ポイントを獲得していくうちにさまざまな技術を身につけ、ゆくゆくは自宅にいながら企業から仕事を受け収入を得ることが期待されます。
高いスキルを発揮する垣内さんですがひきこもりを繰り返していた時期は長く苦しい思いを抱えていました。
一番近くで見守ってきた母親の奈緒子さんは。
■垣内さんの母・奈緒子さん
「本人は少しでも外に出て少しでも人の役に立ったり、社会の役に立ちたいと その思いがあるから苦しかったみたいで自分はあんまり生きている意味がないんじゃないかとかそういうふうに苦しんでいるように見えて」
「人からありがとうって言ってもらえたりとかこれいいねって言ってもらえるのが本当に初めての体験で、嬉しそうでわたしとしては本当にそれが横で見ていて、うれしかった」
しばてん部の活動が糧となり、垣内さんは外出する時間が多くなりました。
■垣内さん
「今やっていることをやりながら、ちょっと自信をつけていって、人間社会の中でしっかり他人と関わっていけたらいいのかなと考えている」
3月半ば、遠藤さんの取り組みを支援する名古屋の企業が訪れました。
今後の展開などについて話し合う中で積極的に質問や意見を出す垣内さんの姿がありました。
■垣内さん
「AIが広まって業務をどんどん自動化していったときに、人間に求められることってシステム会社とかだとどういうことが求められていくのか、実感としてありますか?」
遠藤さんはその様子を頼もしげに見守ります。
■遠藤さん
「チャンスを掴んで自分のできることをどんどんチャレンジしていってその可能性をこうした成果物という形で形に作ってくれている」
「これだけの実力を短期間で、数カ月の間にここまでできるようになったという実力とか、知的好奇心とかそういった部分というのは一般の社会の中においても高く評価されるだろうと思うそうしたものを間近で見ることができたというのは本当に事業所を運営していてよかったと思う」
ひきこもりの人たちが人や社会とつながれるように―。
遠藤さんの願いは一歩一歩着実に広がろうとしています。ひきこもりの人や障害のある人が家にいながら社会復帰や就職を目指していける未来へ向かって2人の挑戦はまだまだ続きます。
男性は人と会うことが難しいひきこもりの人たちがインターネット上の仮想空間で交流する新たな取り組みに挑戦しています。
全国で推計146万人といわれるひきこもりの人たち。
高知県内では、5年前に行なわれた実態調査で692人いることが報告されています。
そんな人たちがパソコンを通じて人や社会とつながれるよう活動を続ける男性がいます。
高知市の遠藤泰さん(50)です。
遠藤さんがいま取り組もうとしているのがメタバース(インターネット上の仮想空間)の活用です。
人と会うことが難しい当事者同士が仮想空間上で自分の分身を通して交流することができます。
わたしたちが遠藤さんと出会ったのはいまから4年前。
高知市のNPO法人「県生涯学習支援センター」が運営する「しばてん大学デジタル部」です。
ひきこもりの人や障害のある人の自立を目指して2021年5月に設立されたもので、遠藤さんは開設当初から講師を務めています。
教室は週5回開かれ、利用者は社会参加に向けパソコンの基本的な使い方から学びます。
実は、遠藤さん自身もひきこもり生活を送った経験があります。
青森県出身の遠藤さん。2011年から3年間高知県本山町で地域おこし協力隊として活動していました。
その後、高知県南国市でトマト栽培を始めましたが、2016年に台風でハウスが全壊。「失敗した」といううしろめたさにとらわれ、41歳のとき、家にひきこもるようなりました。
昼夜が逆転した生活を3年間続けたころ、外に出てみようかという思いが少しずつつのり、ひきこもり生活から抜け出しました。
■遠藤泰さん
「働くというとなかなか強制的にとか制約があったりストレスがあったりと考えてしまう人もいると思うが、実際は社会の中に居場所をつくるという 充実感や満足感、必要とされているという気持ちはモチベーションにつながっていくそういった体験や経験を1人でも多くの障害をもたれている方や孤立しがちな人にもってもらえればそういった活動をしていきたい」
インターネット上の仮想空間を活用しひきこもり支援に取り組む遠藤さん。その遠藤さんと仮想空間上でつながっている男性がいます。高知市の垣内智裕さん(27)です。
2人は対面しなくても仮想空間上で交流することができます。
2024年4月からデジタル部に通う垣内さん。
中学生の頃学校になじめなくなり、高校1年生になったある日、家から出られなくなりました。
その後、大学に通い始めましたがひきこもり生活を繰り返してきました。
3年前に一家で千葉から移住しデジタル部の存在を知った垣内さん。
遠藤さんが驚くほどの才能を発揮しAIを活用したシステムづくりを行えるようになりました。
それが学習ポイントシステムです。
ゲーム感覚でワードやエクセルなどのパソコンスキルやChatGPTなどのAI技術について学ぶことができます。
利用者はクイズを解き、ポイントを獲得していくうちにさまざまな技術を身につけ、ゆくゆくは自宅にいながら企業から仕事を受け収入を得ることが期待されます。
高いスキルを発揮する垣内さんですがひきこもりを繰り返していた時期は長く苦しい思いを抱えていました。
一番近くで見守ってきた母親の奈緒子さんは。
■垣内さんの母・奈緒子さん
「本人は少しでも外に出て少しでも人の役に立ったり、社会の役に立ちたいと その思いがあるから苦しかったみたいで自分はあんまり生きている意味がないんじゃないかとかそういうふうに苦しんでいるように見えて」
「人からありがとうって言ってもらえたりとかこれいいねって言ってもらえるのが本当に初めての体験で、嬉しそうでわたしとしては本当にそれが横で見ていて、うれしかった」
しばてん部の活動が糧となり、垣内さんは外出する時間が多くなりました。
■垣内さん
「今やっていることをやりながら、ちょっと自信をつけていって、人間社会の中でしっかり他人と関わっていけたらいいのかなと考えている」
3月半ば、遠藤さんの取り組みを支援する名古屋の企業が訪れました。
今後の展開などについて話し合う中で積極的に質問や意見を出す垣内さんの姿がありました。
■垣内さん
「AIが広まって業務をどんどん自動化していったときに、人間に求められることってシステム会社とかだとどういうことが求められていくのか、実感としてありますか?」
遠藤さんはその様子を頼もしげに見守ります。
■遠藤さん
「チャンスを掴んで自分のできることをどんどんチャレンジしていってその可能性をこうした成果物という形で形に作ってくれている」
「これだけの実力を短期間で、数カ月の間にここまでできるようになったという実力とか、知的好奇心とかそういった部分というのは一般の社会の中においても高く評価されるだろうと思うそうしたものを間近で見ることができたというのは本当に事業所を運営していてよかったと思う」
ひきこもりの人たちが人や社会とつながれるように―。
遠藤さんの願いは一歩一歩着実に広がろうとしています。ひきこもりの人や障害のある人が家にいながら社会復帰や就職を目指していける未来へ向かって2人の挑戦はまだまだ続きます。
最終更新日:2025年5月7日 18:53