長浜の“赤橋”とともに90年…老舗食堂で味わう不動の人気メニュー「昭和の中華そば」
この時間、時々店開きします「昭和食堂」。きょうは創業90年の食堂、愛され続ける中華そばです。
きょうの昭和食堂は美しい海が輝くまち、長浜町にある食堂です。そのシンボルといえる長浜大橋、通称「赤橋」。橋がかかったのは昭和10年。今から90年前です。
この赤橋と同い年の食堂が橋のすぐ近く、商店街から少し東に入ったところにあります。
「さのや食堂」
佐野チサトさん(81):
「昭和10年に始めたらしいんです。今年でちょうど90年」
昭和10年。同じ年の8月に赤橋、長浜大橋が完成しました。これは貴重な開通式の映像です。芸者さんたちもこんなに大勢!完成の喜びの大きさが伺えます。ちなみに、完成当時、橋は濃い灰色だったそうで現在の赤色になったのは戦後とのこと。
こちらは64年前の昭和36年。橋が開いて、船が通る様子です。船での輸送が主流だった時代に開発された技術。現在 長浜大橋は、現役では日本最古の道路可動橋で、国の重要文化財に指定されています。
赤橋とともに歴史を刻んできた「さのや食堂」。人気なのは中華そばです。
この日の注文はお客さん全員が中華そばでした。
お客さん:
「基本中華そばですね。中華そばが一番良いと思います」
3代目のチサトさん81歳、現役です。
チサトさん:
「ダシはイリコと昆布で作ってます。中華そばもおうどんも皆同じのを使うんです」
和風のあっさりダシが変わらぬ味の決め手。厨房にはいい香りが立ち込めます。
「豚肉なんですが豚肉は炒めんとそのまま。それでくずし(かまぼこ)を2個ずつ入れるんです。これで沸くまで待つ」
最後にネギをのせて…
「これで出来上がりなんですが」
店員:「お待たせいたしました。そばでーす」
和風だしが香る一杯。キャベツにかまぼこ、豚肉。シンプルな具がまたステキです。
そして中華そばと並んで人気なのが、いなり寿司。ゴールデンコンビです。
お店の片隅に一枚の写真があります。チサトさんのご主人、正道さん。7年前に亡くなりました。
南海放送のライブラリーに生前の正道さんの映像が残っていました。
佐野正道さん:
「コクがあるというかね」
空からご主人が見守ってくれる。まちのみんなも支えてくれる。
きょうもあったかい一杯がテーブルに運ばれます。