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今治の山火事「山の貯水能力低下」で 専門家「土砂の流出や土砂崩れに警戒必要」と指摘

2025年4月4日 17:07
今治の山火事「山の貯水能力低下」で 専門家「土砂の流出や土砂崩れに警戒必要」と指摘

今もなお鎮火に向けた作業が続く愛媛県今治市の山火事。この山火事では、山林およそ442ヘクタールに被害が出ました。

大規模な山火事被害に、専門家は「山の貯水能力が低下する恐れがあり、土砂の流出や土砂崩れに警戒が必要」と、指摘しています。

先月23日に今治市で発生した山火事。今治市と西条市の山林およそ442ヘクタールが焼失し、県内では過去最悪の被害となりました。

愛媛大学農学部の江﨑次夫名誉教授。森林科学が専門で、2008年に今治市朝倉地区で発生した「笠松山」での山林火災では、復旧計画の作成を技術面でサポートするなど、15年にわたり、現地での調査を続けながら山の再生に尽力してきました。

再生中に再び起きた山火事。

江﨑名誉教授:
「森林の再生にはかなり時間がかかります。だから、その間に災害を受けるリスクが多くなりますので、それをしっかり今から考えていかないと」

江﨑名誉教授は、山火事によって今後注意すべき点として、山が水分を吸収する能力“浸透能”の低下をあげています。

江﨑名誉教授:
「(燃えた箇所では)おそらく40~50ミリ位しか雨を吸ってくれません。1時間あたり。そうすると、それ以上の雨が降ると当然表面を流れていきます」

教授によると、今治市一帯の山林は、大部分が、花こう岩が風化してできた真砂土で覆われていて、この真砂土は乾燥しやすく、1時間あたりの浸透能が最大100ミリ程度と、整備された元気な森の半分以下(40%)。

さらに、今回の山火事の発生で、植物が焼けたため、浸透能は1時間あたり40~50ミリにまで低下し、その結果、土砂の流出が発生しやすい可能性があるということです。

出水期を控えた今、土砂災害による被害を防ぐための対策が急務だと指摘します。

江﨑名誉教授:
「例えば大型土のうで災害が起こらないように土砂止めをしてやる。あるいは 危ない地域に住む人はすぐに避難する、そういうシステムを 確立させておくというのが、大事ですね」

最終更新日:2025年4月4日 19:40